ふくそう海域に引き続き、全国の沿岸海域にAISを活用した航行支援システムの整備を進めています。同システムでは、AIS搭載船舶の動静をリアルタイムに把握しながら、乗揚げ及び走錨の恐れのある船舶への注意喚起のほか、各種安全情報の提供を行っています。平成20年7月には北海道、東北、北陸及び山陰沿岸海域にて同システムの運用を開始しました。また、平成20年度には南九州及び南西諸島海域において同システムの整備を行いました。
海上保安庁では、漂流物や航路標識の障害など航海中の船舶に対して緊急に周知する必要がある情報を、航行警報として衛星通信やインターネット等で提供しています。平成20年においては、約1万3千件の情報を発出しました。
また特に冬期においては、北海道沿岸地域に到来する流氷が航行の支障となることから、巡視船艇・航空機によるしょう戒の他、人工衛星「だいち」による観測も活用し、「海氷速報」としてほぼ毎日発行しました。
さらに、気象状況や工事状況、定置網設置状況などの情報の把握不足による海難を防止することを目指して、海で活動する方々に向けて、パソコンや携帯電話のインターネット等で、海の安全に関する情報を提供する「沿岸域情報提供システム(MICS)」を運用しています。このシステムは、リアルタイムな情報を「誰もが簡単に、必要な情報を必要なときに、誰でも分かりやすく」入手できるもので、現在、全国70の海上保安(監)部等で運用しています。