本編 > 交通の安全を守る > 2. ふくそう海域・港内の安全対策
2. ふくそう海域・港内の安全対策
船舶交通の安全を確保するための基本的な海上交通ルールである「海上衝突予防法」の特別法として、船舶交通がふくそうする東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海の三海域には「海上交通安全法」を、船舶が出入りする港内には「港則法」を定めています。これら法令の適切な運用により海上交通の秩序維持が図られています。
特に東京湾、伊勢湾、瀬戸内海及び関門港といった「ふくそう海域
」では、海上交通センターにおいて、航行船舶の動静把握や航行管制を行い、巡視船艇と連携し、通行船舶への、安全な航行に必要な情報の提供や不適切な航行をする船舶に対する指導、海上交通関係法令に違反した船舶に対する徹底した取締り等を実施しています。
(1)港則法及び海上交通安全法の一部改正
海上保安庁では、我が国の海上交通ルールや複雑な地形・強い潮流といった海域特性に不案内な外国船が増加していること、AIS導入により海上交通センターにおける船名把握が自動化されたことといった海上交通にかかる環境変化等を踏まえ、
- 危険防止のための航行援助の充実
・海上交通センターによる危険防止のための情報提供及び聴取義務
・航法遵守と危険防止のための勧告及び報告
- 海域特性に応じた新たな航法の設定
・航路の一部区間における追越しの禁止
・航路出入口付近の海域等での経路指定等
を主な内容とする「港則法及び海上交通安全法の一部を改正する法律案」が、内閣提出の法律案として平成21年2月に第171回国会(常会)に提出されています。
|
▲関門海峡海上交通センター |
(2)海上交通センターの機能強化
ふくそう海域の安全性を向上させるためには、船舶が航法を守って航行することに加え、海上交通センターから航行船舶に対しより適切に情報提供等の必要なサポートを行うことが重要です。このため、航法が適切でない船舶を自動で判別する装置や運用管制支援システムの導入等を行い、海上交通センターの機能を強化します。
|
▲海上交通センター運用管制室 |
(3)港内管制システムの高度化
港内の更なる安全の確保、船舶の運航効率の向上に効果が期待できる17の港内管制水路を対象に、AISを活用して港内水路における行き会い可能な船舶を個別に判断する港内管制システムを順次導入します。
平成21年度は、東京湾及び鹿島港において、7つの港内水路に上記の港内管制システムを整備します。
(4)航路標識の高度化整備
これまで船舶に航路や障害物を示すために設置してきた灯浮標は、海底に設置した錘とチェーンで係留されているため、波浪により揺れて光が見えにくい、また水深の約2倍の範囲を振れ回るという短所がありました。そのため、チェーンの代わりに最小限の連結具を使用して振れ回りを少なくすることでこの短所を克服し、水面からの高さが高く視認性に優れた「浮体式灯標」を順次導入しています。
今後も、灯浮標の浮体式灯標化等の航路標識の高度化整備を行い、ふくそう海域における船舶交通の安全と運航効率の向上を図ります。