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災害に備える
2. 自然災害対策
目標
地震や津波、台風といった自然災害は、時として私たちの生活に甚大な被害をもたらします。海上保安庁では、日頃から自然災害に対する備えを万全なものとし、自然災害発生時には迅速かつ的確な応急対策を実施し、被害を最小限に抑えることを目標としています。
平成20年の現況
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▲防災訓練の様子 |
海上保安庁では、地方自治体等との連携強化を図るため、東海地震、東南海・南海地震や首都直下型地震等の発生に備えた合同訓練を179回実施しました。平成20年6月14日に発生した「平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震」では、巡視船艇・航空機を出動させ、沿岸部の被害状況調査を行うとともに、宮城県からの要請に伴いヘリコプターを派遣し、孤立者153名を救助しました。また、航行警報を発出して航行船舶等に対して注意喚起を行いました。(詳しくは、TOPICS 8. 多発する地震!〜岩手・宮城内陸地震、岩手県沿岸北部を震源とする地震〜をご覧ください。)
また、東海地震や南海地震などに代表される、海域のプレート境界にて発生する海溝型地震は、揺れのみでなく大津波を引き起こすなど、沿岸部の広範囲に大きな被害を及ぼします。しかし、これら海溝型地震は、発生地域が海域であることから、基盤となるデータが少なく、調査研究が十分に進んでいません。
海上保安庁では、海底地殻変動観測や精密な海底地形・地質調査を実施し、地震の発生予測につながる基礎情報の整備に努めています。平成20年も各種調査を実施し、得られた情報を随時地震調査研究推進本部や地震予知連絡会へ報告しました。
このほかにも、南方諸島及び南西諸島の海域にある火山島や海底火山の構造等の調査及び火山の活動状況の監視を実施し、火山噴火予知連絡会等に報告しました。
海上保安庁業務継続計画
平成20年4月には、首都直下型地震が発生した場合にも、海上保安庁の任務を継続的に遂行するための「海上保安庁業務継続計画」を策定しました。海上保安庁は、従来から海上保安庁防災業務計画等に基づき、自然災害発生時には、迅速に応急対策にあたっていますが、「海上保安庁業務継続計画」では、以下の基本方針を策定しました。
上記の基本方針により、首都直下型地震が発生しても、海上保安庁に課せられた任務を遂行していくこととしています。
今後の取組み
(1)機動性の高い救助体制の構築
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▲機動救難士 |
海上保安庁では、機動性の高い救助体制を構築し、自然災害発生時における人的被害の軽減を図るため、機動救難士の航空基地への配置を引き続き拡充します。平成21年度においては、那覇航空基地(沖縄県)に機動救難士を配置し救助体制の充実強化を図ります。また、机上訓練、実働訓練等を通じ、自然災害対応における関係機関との連携を強化します。
(2)大規模地震の想定震源域における調査
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▲海底地形調査(観測機器の投入) |
地震による被害の軽減のため、引き続きプレート境界域における海底地殻変動観測や精密な海底地形・地質調査等を実施し、収集したデータを地震調査研究推進本部等へ報告します。
(3)海域火山の監視
現在も活動している31か所の海域火山について、火山付近の地質構造やマグマの位置の把握、海底火山の地下構造を解明するために、測量船による海底地形・地質調査等の科学的調査及び航空機による南方諸島や南西諸島海域の火山活動監視・観測を実施します。船舶による調査は、海底火山活動が活発になったときに有人の測量船では、爆発に巻き込まれる恐れがあり大変な危険を伴う作業です。このことから、無人で調査を行える測量船「じんべい」や特殊搭載艇「マンボウU」を活用した調査を実施していきます。
これらの監視や調査で収集したデータは火山噴火予知連絡会等に報告するほか、航行船舶への情報提供、防災対策の基礎資料としての活用等を行います。
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▲西之島の噴火(昭和48年) |
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▲福徳岡ノ場の噴火(昭和61年) |
(4)防災情報の整備・提供
離島や沿岸域において、地震・津波、火山噴火等自然災害発生後の住民避難や支援物資の搬入等を迅速に行うため、海底地形等の自然情報に加え、防災機関、医療機
関、ヘリポートとして使用できる場所や地域の人口等の社会情報等を記載した「沿岸防災情報図」を整備・提供します。また、大規模地震により津波被害が想定される海域において、津波シミュレーションによる波高、到達時間等を記載した「津波防災情報図」を引き続き整備・提供します。今後も、防災対策を推進するうえでの基礎情報の整備を進めていきます。
また、地震発生、火山の噴火や津波の到達が予想される場合等においては、航行警報を発出し速やかに航行船舶等に注意を促していきます。
(5)港内における津波対策
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▲波が打ち込む水津漁港 |
地震が発生し大規模な津波の来襲が想定される場合、港内在舶船への甚大な被害の発生が懸念されます。港ごとに予想される津波の規模や船舶への影響等は異なることから、主要な港を中心にそれぞれ「船舶津波対策協議会」を設立し、海上保安庁が収集・整理した津波防災に関するデータを活用しながら必要な対策の充実を図ります。
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