▲レーザー光 |
現在、私が担当している測量は、人工衛星レーザー測距観測というものである。この観測は、レーザー測距装置を操作する者、観測の補助をする者で行う。
レーザー測距装置の操作担当には経験が必要になる。コンピュータ画面には予想される衛星の軌道が表示されるが、実際の衛星の位置は大気や地球の重力の影響で、この軌道から多少ずれている。そのため、微妙な制御を行わなければならない。また、衛星から反射された光を捉える装置には、太陽や星からなど、様々な光も捉えてしまうため、反射されたレーザー光が紛れてしまう。衛星は秒速数kmで移動するため、わずかな時間にずれの修正、正確な反射光の特定を行わないと、衛星にレーザー光は当たらない。
観測の補助をする者は屋上にいて、反射したレーザー光を受け取る部分の装置を操作する。また、レーザー光を発射している間は、目視によりレーザー光への接近物の有無を監視も行う。観測用のレーザー光は最大2万kmまで届く非常に強力なものであり、高度10kmを飛行する航空機の搭乗者が直視すると、危険なためである。航空機が接近した場合には、測距を直ちに中断する体制を確保している。
朝日が昇るのを眺めながら一日の測量を終了するのが常である。そして、観測資機材の電源を全て落とし、下里水路観測所の一日が終わる。
▲観測作業(屋内) |
▲観測作業(屋外) |