海上保安レポート 2006

●はじめに


■TOPICS 海上保安の一年


■特集1 国際展開する海上保安庁

■特集2 刷新図る海保の勢力


海上保安庁の業務・体制


■本編

治安の確保

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える


海保のサポーター


海上保安官を目指す!


語句説明・索引


図表索引


資料編


 
本編 > 青い海を護る > 2 海上環境事犯の摘発
2 海上環境事犯の摘発

目 標
 最近の廃棄物処理に関する法規制の強化や環境事犯に対する取締りの強化に伴い、これまで以上に不法投棄の手口が悪質・巧妙化し、環境事犯が潜在化していく傾向が見られます。
 さらにこれらは暴力団や悪質業者による組織的な犯罪であることも多く、広域にまたがって行われる可能性も高いことから、海上保安庁では、関係機関と連携を強化し、これら悪質・巧妙化する潜在事犯の摘発に努めます。
平成17年の現況
 平成17年の海上環境関係法令違反の送致件数は621件であり、前年と比較して167件増加しています。具体的には、船舶起因の違反が166件であり、全体の約3割を占め、そのうち8割が油の排出によるものです。その他、廃棄物の投棄禁止違反は全体の2割とこれに続いています。これらの事犯は船舶起因でかつ故意による事犯が多いことから、引き続き取締りを強化しました。
 平成17年度は大手鉄鋼企業による不法排出事犯について随時捜査の状況がマスコミ各社を通じて放送されるなど、社会の注目を集める事件が発生しました(詳しくは「TOPICS 5 海を汚すな! 海上環境事犯の徹底摘発」をご覧下さい)。
 これらの海上環境事犯は、その手口が悪質・巧妙化、潜在化しており、取締りの実効を一層困難にしています。
 以上のことから、海上保安庁では、国民の健康で快適な生活環境を守るため、悪質・潜在化する海上環境事犯の撲滅に向けて地方自治体、警察等関係機関との連携を一層強化するほか、巡視船艇・航空機の効果的な運用等により監視・取締体制を充実強化しました。
投棄された車両
▲投棄された車両
排水口から流れ出る汚水
▲排水口から流れ出る汚水
今後の取組み
 海上環境事犯については、引き続き厳正な監視取締りを行っていきます。特に沖合海域で行われる悪質な不法投棄事犯は潜在化する可能性が極めて高いことに加え、発見後の原状回復が困難であることから、引き続き関係機関、防犯団体や地域住民等との連携をさらに推進するなど、きめ細かい情報収集体制の構築を行うほか、巡視船艇・航空機による監視を実施し、不法投棄の未然防止又は早期発見による徹底した取締りに努めていきます。

海上環境関係法令違反送致件数の推移
海上環境関係法令違反送致件数の推移