海上保安レポート 2004

●はじめに


■TOPICS 海上保安の1年


■特集1 海洋権益の保全とテロ対策

■特集2 海保の救難


■本編

治安の確保

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える

海をつなぐ連携


海上保安庁の業務・体制


海を仕事に選ぶ


海保の新戦力


その他


資料編


 
海を仕事に選ぶ > 2 海上保安官になるために
海上保安官になるために

 海上保安庁はこれまでに紹介してきたように、主に海上をその活動・活躍の場としています。海上という環境はとても厳しいものであり、またその業務は複雑多岐にわたります。そのため海上保安官には海上で活動するための特別な能力が必要となります。この能力とは、海上保安業務を遂行するための知識と技能や、強靱な気力と体力であり、これらの能力を持ったいわば「海のプロフェッショナル」とも言える海上保安官が、海上保安庁の幅広い業務を的確に行うことによって、国民の負託に応えています。
 海上保安庁では、これらの能力を持った海上保安官を育成するため、海上保安大学校及び海上保安学校を設置し、全寮制のもとで教育訓練を行っています。

JCG Academy 〜海上保安大学校(広島県呉市)〜

 将来の海上保安庁の幹部となる職員として必要な高度の知識と技能を教授し、あわせて心身の錬成を図ることを目的に設置された教育機関です。教育内容は、大学設置基準に準じて組まれており、教育期間は本科4年と専攻科6カ月の合計4年6カ月です。本科4年間を通じて海上保安行政を遂行するために必要な知識・技能を修得します。授業は、行政法、 国際法、刑法などの法律関係や海上保安行政 関係の学問を中心に行われ、2学年後期から は、第一群(航海)、第二群(機関)又は第三群(情報通信)のいずれかを選択し、海事系知識を修得します。また、3学年からは警察学又は安全学の分野を選択し、海上犯罪論や海難救助工学などの授業により海上保安行政を遂行するにあたって必要とされる専門知識を更に掘り下げ、知識を深めます。卒業生には学士の学位が授与され、大学院への入学資格が認められます。本科を卒業すると、引き続き専攻科に進みます。専攻科に入ると、世界一周の航海実習のほか犯罪捜査・鑑識、海難救助など海上保安業務に直結した実務を学びます。専攻科修了後、初級幹部として巡視船で勤務し、海難救助、海上犯罪の取締りなどの業務に従事します。その後は、陸上勤務、海上勤務の双方を経験し、幹部への道を進んでいきます。また、海上保安大学校には国際海洋政策研究センターが設置されており、国際海洋政策に関してこれまでに行ってきた独自の研究に加え、国内外の研究機関との共同研究を推進し、その研究成果を各種国際会議に発信するなど、我が国の海洋政策に関する研究をリードしていくことを目指しています。
 海上保安庁の一般職員として必要な知識と技能を教授します。教育内容は、警備救難、海洋情報、交通の海上保安庁の主要な業務の実践に即対応できる職員の養成を目指し、そのために必要な学術・技能の修得、気力・体力の充実、公正な公務員としての人格・規律の修得を図ります。
 教育課程は次の4つの課程があり、学生は入学時からそれぞれの課程で、将来担当する業務に合わせた教育を受けます。
行進する海上保安大学校学生
▲行進する海上保安大学校学生

JCG School 〜海上保安学校(京都府舞鶴市)〜

 海上保安庁の一般職員として必要な知識と技能を教授します。教育内容は、警備救難、海洋情報、交通の海上保安庁の主要な業務の実践に即対応できる職員の養成を目指し、そのために必要な学術・技能の修得、気力・体力の充実、公正な公務員としての人格・規律の修得を図ります。教育課程は次の4つの課程があり、学生は入学時からそれぞれの課程で、将来担当する業務に合わせた教育を受けます。

◆船舶運航システム課程(教育期間1年)
 巡視船等に乗り組む海上保安官を育成する課程で、3コースに分けられています。学生は次のコースごとに教育を受けるとともに、警備救難業務等を遂行するために必要な知識・技能を修得します。

  • 航海コース 巡視船等の運航を担当する海上保安官(航海士)を育成するコースで、船舶運航に必要な知識・技能を修得します。
  • 機関コース 巡視船等の機関運転・整備を担当する海上保安官(機関士)を育成するコースで、船舶の機関、電気機器等に関する知識・技能を修得します。
  • 主計コース 巡視船等において経理や調理を担当する海上保安官(主計士)を育成するコースで、総務、経理補給、船舶衛生、調理技術等に関する知識・技能を修得します。

◆航空課程(教育期間1年)
 海上保安庁の航空機の運航を担当する海上保安官(飛行士)を育成する課程で、飛行士となるために必要な数学、物理、英語等や警備救難業務等に必要な知識・技能を修得します。

◆情報システム課程(教育期間2年)
 通信機器の運用・管理と船舶の安全運航に必要な情報を提供する航行援助システムの管理・運営を行う海上保安官を育成する課程で、通信機器及び航行援助システムの運用・保守、警備救難業務に必要な知識・技能を修得します。

◆海洋科学課程(教育期間1年)
 航海の安全を確保するために必要なさまざまな海洋データを収集、解析し、提供する海上保安官を育成する課程で、海洋の科学的資料の収集、解析に必要な知識・技能を修得します。海上保安学校を卒業すると、巡視船艇、海上保安部署等において各課程、各コースに応じた業務に従事します。卒業式終了後、直ちに配属先の巡視船に乗船して海難救助、犯罪捜査にあたります。一定期間の船艇勤務を経験した後は、陸上勤務も経験します。また、所定の実務を経験した後、海上保安大学校特修科に進み、幹部海上保安官になることもできます。
入学式
▲入学式

JCG School Moji Branch 〜海上保安学校門司分校(福岡県北九州市)〜

 船舶、無線通信等の資格保有者を対象として採用した職員に対して海上保安官としての必要な知識及び技能の教授並びに体力を養成するため6ヵ月間の初任者研修を行っています。
 門司分校では、海上保安官として必要な基本的知識及び技能の習得を目指し、国際法、刑事訴訟法などの法学や海難救助、犯罪捜査、鑑識などの海上保安学を学びながら、射撃、逮捕術などの訓練や体育で体力、気力を練成します。そして、乗船実習、現地実習などを通じて巡視船艇等の運用技能や実務を学びます。
 研修修了後は、巡視船艇による海難救助、犯罪捜査や海上交通センターにおける航行管制等、区分に応じ全国各地で海上保安業務に従事します。
 また、海上保安学校卒業者と同様、一定期の実務を経験した後、海上保安大学校特修科に進み、幹部海上保安官になる道も開かれています。
射撃訓練
▲射撃訓練
逮捕術訓練
▲逮捕術訓練

JCG School Miyagi Branch 〜海上保安学校宮城分校(宮城県岩沼市)〜

 海上保安庁の航空要員を養成するための教育機関です。海上保安学校航空課程の卒業生に対し回転翼航空機(ヘリコプター)の操縦資格を取得させるほか、現場で活躍中の飛行士、整備士及び航空通信士に対し、必要な資格の取得、特殊技能(吊り上げ救助等)の修得、航空機運航に関する安全対策知識の付与などを実施しています。
授業風景
▲ 授業風景
実機による訓練
▲実機による訓練

For more Information 〜もっと詳しく知りたい方へ〜

大学校、学校ではホームページも開設していますので、参考にしてください。

*学生採用試験についてさらに詳しく知りたい方は、
 海上保安庁総務部教育訓練管理官付企画調整係
 TEL:03−3580−0936(直通)
*資格保有者採用についてさらに詳しく知りたい方は 、
 海上保安庁総務部人事課任用係
 TEL:03−3591−6361(代表)
又は、お近くの管区海上保安本部などにお問い合わせください。

試験日程
受験資格