海上保安庁は、遭難船舶等から発信された遭難警報を衛星経由で捜索救助機関に配信するコスパス・サーサットシステムの地上設備の提供国として、平成5年から同システムを運用する政府間機関コスパス・サーサットに参加しています。
コスパス・サーサットシステムでは、これまで低軌道衛星を利用したLEOSARシステムが運用されていましたが、遭難船舶等の位置を特定するには衛星で遭難警報を2回以上検出する必要があり、平均で1時間程度の時間を要する点がデメリットとなっていました。このため、コスパス・サーサットにおいて、遭難警報の検出時間短縮や測位精度向上等の機能強化を図るため、新たに中軌道衛星を利用したMEOSARシステムの導入が決定されました。
MEOSARシステムでは、GPS衛星等の複数の中軌道衛星が常に上空にあるため、遭難警報の発信直後に遭難船舶等の位置を特定することができるという大きなメリットがあります。
海上保安庁においても、平成27年から中軌道衛星で検出・中継される遭難警報を受信・配信するための地上設備を整備するとともに、運用手順の確認等の諸準備を行い、令和3年3月、コスパス・サーサットにおいて、日本のMEOSARシステムは正式に承認されました。今後、MEOSARシステムの運用を牽引するとともに、世界的な捜索救助体制の強化に貢献していきます。