選手村に集結した巡視船
「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」の成功のため、海上保安庁では全国から船艇151隻、航空機8機、職員約3,300名が集結し、過去最大規模の体制で海上警備に臨みました。世界的なスポーツの祭典を支えるため、テロ、自然災害、大規模海難等のあらゆる事態を想定した対策を講じるとともに、連日の猛暑や新型コロナウイルス感染症への対策など、多くの課題を一つ一つ克服し、無事、2か月を超える長期間の海上警備を完遂しました。
セーリング競技会場の警戒にあたる巡視船
大会開催に伴い、海上の安全確保のため、東京港内における臨海部の競技会場等周辺海域に航行自粛海域及び停留自粛海域を設定しました。
広範囲かつ長期間にわたる海域設定でしたが、海域利用者に対する丁寧な説明や、インターネットなどのあらゆる手段を活用した情報発信により、国民の皆様の理解と協力を得ることができ、大会の安全を確保することができました。
航行自粛海域等に関するリーフレット
海上警備におけるあらゆる対象への対応を想定し、海上保安庁では約5年かけ、最新の機器を使用して会場周辺海域を緻密に調査しました。調査の結果得られた詳細なデータを基に、競技会場や関連施設の位置などを記載した警備業務専用の図を紙と電子媒体により作製のうえ、関係者に共有し、海上警備を万全なものとすることにより、安全な競技大会の開催に寄与しました。
新型測量船による緻密な調査
海上警備を万全なものとするため、巡視船艇・航空機の故障への迅速な対応を実施するとともに、ゴムボートへの屋根の取付などといった酷暑下での職員負担軽減策を図るなど、充実した支援を実施しました。また、真っ白に美しく整備された船体が、メディアの報道やSNSへの投稿を通じて全世界へ発信され、世界中の人々に対して、海上警備に毅然と臨む海上保安庁の姿勢を示すことができました。
酷暑対策の一例(ゴムボートへの屋根の取付)