関西国際空港の連絡橋へのタンカー衝突事故状況
近年、大型の台風をはじめとした異常気象の頻発化・激甚化に伴い、平成30年9月に発生した関西国際空港の連絡橋へのタンカー衝突事故や令和元年9月に発生した横浜港の南本牧はま道路への貨物船衝突事故など、船舶交通の安全や施設の機能が阻害され、人流、物流に甚大な影響を及ぼすような事故が立て続けに発生しています。このため、異常気象時における船舶交通の安全確保に必要な対策や海上交通安全基盤の拡充・強化などについて、国土交通大臣から交通政策審議会に諮問し、同審議会海事分科会船舶交通安全部会での審議を経てなされた答申に基づき、第204回国会(常会)に「海上交通安全法等の一部を改正する法律案」を提出し、令和3年5月25日に成立しました。
航路標識協力団体の清掃活動(イメージ)
船舶との衝突による損傷状況
これにより、
- ●一定の大型船を対象とする湾外避難、湾内の錨泊制限などの勧告・命令制度
- ●臨海部に立地する施設の周辺海域における走錨等に起因する事故など防止のための海上交通センターからの情報提供、危険回避措置の勧告制度
- ●AIS信号所からAIS搭載船舶のレーダー画面などにバーチャルAIS航路標識を緊急表示させる制度
に加え、航路標識の迅速な復旧及び管理体制の強化のための、
- ●海上保安庁が管理する航路標識を損傷した原因者に対し、復旧に必要な工事や、その費用を負担させる制度
- ●海上保安庁以外の者による航路標識の軽微な工事などを承認する制度や、その工事などを適正かつ確実に行うことができる民間団体等を航路標識協力団体として指定する制度
が創設されました。
海上保安庁としては、これまで講じてきた対策に加え、新設された制度を適切に運用することにより、船舶交通のいっそうの安全確保に努めていきます。
バーチャルAIS航路標識の緊急表示