海上保安レポート 2021

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 現場「第一線」


海上保安官の仕事


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 海上交通の安全を守る

7 海をつなぐ


語句説明・索引


図表索引


資料編

6 海上交通の安全を守る > Column Vol.12 台風で灯台がなくなった!?〜総力を挙げ長島港大石灯台を復旧〜
6 海上交通の安全を守る
Column Vol.12
台風で灯台がなくなった!?〜総力を挙げ長島港大石灯台を復旧〜
第四管区海上保安本部交通部

令和元年台風19号は日本列島各地に大きな爪痕を残し、船舶の目印となる灯台や灯浮標も大きな被害を受けました。昭和48年から熊野灘を照らしている長島港大石灯台(三重県紀北町)もその一つであり、高さ8m、重さ40トンの施設が、この台風で一夜にして倒壊・海没しました。台風通過後の10月13日朝、「灯台がなくなっている」旨の118番通報を受けた第四管区海上保安本部は、その総力を挙げ灯台を復旧しました。

灯台の設置場所は最大70度の急斜面に囲まれており、復旧には難工事が想定されたため、灯台の本復旧に向けた綿密な計画と並行し、スピード感を重視した応急的な復旧も行いました。まず、倒壊当日には、職員により簡易的な灯りを設置し、その1ヶ月後には比較的設置が容易な小型の仮灯台を設置しました。また、本復旧までの間には、船艇・航空機や潜水士等により船舶の障害となりうる灯台残骸の捜索を行ったほか、海域利用者に対してあらゆる手段を用いて周知する等、船舶航行安全にも万全を期しました。

倒壊からおよそ1年後の令和2年10月26日、近年の異常気象にも耐えられるよう頑丈に生まれ変わった長島港大石灯台は、倒壊前と変わらずこれからも熊野灘を照らし続けます。

長島港大石灯台