令和元年末以降、世界的大流行となっている新型コロナウイルス感染症に対しては、関係省庁と緊密に連携しながら必要な対応を行っています。
令和2年2月に発生した「ダイヤモンド・プリンセス」号への対応にあっては、検査キットや検体の輸送、陽性患者等の搬送を実施しました。その後は、全国各地の自治体や検疫所等からの要請に基づき、検体・検疫官等の搬送、離島からの陽性患者又は感染の疑われる患者の搬送を実施したほか、外国船舶に乗り組む日本人の帰国支援を実施しています。
また、現場第一線で任務にあたる職員の感染対策等に万全を期すため、手洗いやうがい等の感染対策を徹底するほか、防護衣などの感染防止資機材を整備し、これらの取扱い慣熟訓練をはじめ、各種訓練研修に取り組んでいます。
海上保安庁では、引き続き、関係機関と緊密に連携の上、自治体等からの要請を踏まえつつ、新型コロナウイルス感染症への対応に努めます。
海上保安庁が行った、新型コロナウイルス感染症対策に関する取組は、陽性患者等の急患搬送のみではありません。
海上保安庁では、入港予定の国から入国を拒否され、日本への帰国のめどが立たなくなった外国船舶に乗り組む日本人に対し、巡視船艇による帰国支援を実施しました。
出典:JICA
海洋汚染の調査状況
出典:JICA
油防除研修
出典:JICA
対策会議等への参加
出典:JICA
令和2年7月、モーリシャスの南東岸から約1.7km(0.9海里)の海域において、ばら積み貨物船「WAKASHIO」が座礁、その後、大量の燃料油の流出が確認されました。
海上保安庁では、モーリシャス政府の要請を踏まえて政府として派遣した国際緊急援助隊・専門家チーム一次隊*に、油防除に関する専門部隊である機動防除隊2名を含む職員4名を参加させ、現地にて油防除に関する指導・助言等を実施しました。
*外務省1名、海上保安庁4名、JICA1名の計6名
我が国は、海外で大規模な災害が発生した場合、被災国政府または国際機関の要請に応じて、救助や災害復旧等の活動を行う国際緊急援助隊を派遣しました。海上保安庁は、国際緊急援助隊における救助チーム及び専門家チームの構成員となっており、これまで多くの災害事案等に対応しています。
救助チームとは、被災地における被災者の捜索、発見、救出、応急処置、安全な場所への移送を行うチームで、専門家チームとは、災害に対する応急対策と復旧活動について被災国政府へ助言を行うチームであり、これまで海上保安庁からは、救助チームに延べ航空機1機・176名、専門家チームに延べ23名が派遣されています。
出典:JICA
本庁 警備救難部 環境防災課 国際海洋汚染対策官(副団長) 武智 敬司
出典:JICA |
今回の国際緊急援助隊の派遣は、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大の最中で行われたことから、複雑なモーリシャスへの入国ルート、滞在期間中の厳格な行動制限など多くの制約と困難があり、現地調査を行うことさえも簡単ではありませんでしたが、国際緊急援助隊は、事故の収拾に向け少しでも貢献できることはないかとの思いで日々活動を行いました。
今後、モーリシャスの社会が受けたダメージの回復に向け、日本から様々な中長期的な支援が行われます。現地の1日も早い回復を願うとともに、いつかまた貴重な自然に恵まれたモーリシャスを訪れることができる日を心待ちにしています。
第三管区海上保安本部 横浜機動防除基地 主任防除措置官 大塚 久
出典:JICA |
アフリカ諸国では問題が起こった場合には、当事国から国際連合(UN)に対して支援の要請を出すことが多く、今回はレユニオン(フランス領)やインドからも応援チームが入り、我々日本チームは多国籍チームの一員となりましたが、助言を行う上でそれぞれの得意分野を把握することに苦労しました。
また、主任防除措置官としての経験上、現地を指揮できる者、いわゆる「キーパーソン」の動き如何で事態の収束スピードが変わることから、新型コロナ対策で厳しく行動が制限されていた「キーパーソン」が自由に活動できるように、モーリシャス政府に助言し、事態が動きだしたときにはやりがいを感じました。この辺りが隠れた功績だったと思います。