海上保安レポート 2021

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 現場「第一線」


海上保安官の仕事


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 海上交通の安全を守る

7 海をつなぐ


語句説明・索引


図表索引


資料編

海上保安庁の任務・体制
海上保安庁の任務・体制
海上保安庁の任務・体制

我が国周辺海域では、毎年数多くの事件・事故が発生しており、海上保安庁では、日々、こうした事件・事故の未然防止に努めるとともに、遠方離島海域における領海警備や、海洋権益の確保、船舶交通の安全の確保等、様々な業務にあたっています。なかでも、尖閣諸島周辺海域で執拗に繰り返されている中国海警局に所属する船舶による領海侵入や、外国の海洋調査船による我が国の同意を得ない海洋調査活動への対応等、海上保安庁の業務はますます多様化し、その重要性が高まっています。

ここでは、海上保安庁の任務とその基盤となる体制について紹介します。

1 海上保安庁の任務

海上保安庁は、「海上の安全及び治安の確保を図ること」を任務としています。この任務を果たすため、広大な「海」を舞台に、国内の関係機関のみならず、国外の海上保安機関等とも連携・協力体制の強化を図りつつ、治安の確保、海難救助、海洋環境の保全、自然災害への対応、海洋調査、海洋情報の収集・管理・提供、船舶交通の安全の確保等、多種多様な業務を行っています。

海上保安庁法(昭和23年法律第28号)(抄)

第2条第1項 海上保安庁は、法令の海上における励行、海難救助、海洋汚染等の防止、海上における船舶の航行の秩序の維持、海上における犯罪の予防及び鎮圧、海上における犯人の捜査及び逮捕、海上における船舶交通に関する規制、水路、航路標識に関する事務その他海上の安全の確保に関する事務並びにこれらに附帯する事項に関する事務を行うことにより、海上の安全及び治安の確保を図ることを任務とする。

2 機構

海上保安庁は、国土交通省の外局として設置されており、本庁(東京都)の下、日本全国に管区海上保安本部、海上保安部等を配置し、一元的な組織運用を行っています。


本庁

本庁には、長官の下に、内部部局として総務部、装備技術部、警備救難部、海洋情報部、交通部の5つの部を置いています。本庁は、基本的な政策の策定、法令の制定や改正、他省庁との調整等を実施しており、海上保安行政の「舵取り」を担っています。


管区海上保安本部・海上保安部等

海上保安庁では、全国を11の管区に分け、それぞれに地方支分部局である管区海上保安本部を設置し、担任水域を定めています。

また、管区海上保安本部には、海上保安部、海上保安署、航空基地等の事務所を配置し、巡視船艇や航空機等を配備しています。これらの事務所や巡視船艇、航空機等により、治安の確保や人命救助等の現場第一線の業務にあたっています。


教育訓練機関

海上保安庁では、将来の海上保安官の養成や、現場の海上保安官の能力向上のための教育訓練機関として、海上保安大学校(広島県)、海上保安学校(京都府)を設置しています。(詳しくは「海上保安官の仕事」をご覧ください。)

機構図(令和3年4月1日現在)

機構図(令和3年4月1日現在)

海上保安庁の令和3年度機構改正は以下のとおりです。

  • ●第十一管区海上保安本部所属巡視船の稼働率を確保し、尖閣領海警備体制を確実に維持するため、同管区の船舶技術業務を一元的に管理監督、運営する「船舶技術部」を設置。
  • ●海洋情報業務のマネジメント体制を強化するため、海洋情報業務に関する関係機関とのハイレベルな調整及び海洋情報の戦略的な発信や総合的な施策等の企画・立案を行う「海洋情報企画官」を設置。
3 定員

令和2年度末現在、海上保安庁の定員は14,328 人であり、このうち、管区海上保安本部等の地方部署の定員が12,120人、巡視船艇・航空機等の定員が7,040人となっています。

令和3年度は、戦略的海上保安体制の構築や国民の安全・安心を守る業務基盤の充実・強化のための要員として、385人を増員し、海上保安の基盤強化を推進しました。

4 予算

海上保安庁の令和3年度予算額は、平成28年12月に決定された「海上保安体制強化に関する方針」を受け、2,226億円となっています。このうち、人件費として1,037億円、船艇・航空機の整備費として291億円、運航費(燃料費、修繕費等)として487億円を計上しています。

また、令和2年度の補正予算では、345億円が措置されています。

5 装備

海上保安庁では、令和2年度末現在、477隻の船艇と87機の航空機を保有しています。(船艇・航空機の種別については、船艇(令和3年4月1日現在)航空機(令和3年4月1日現在)をご覧ください。)

今後の具体的な整備については、「海上保安体制強化に関する方針」に基づき、大型巡視船等8隻及び航空機10機の増強整備を推進していくこととしています。

また、全国における海難、海上災害、不審事象、不法行為等に迅速かつ的確に対応し、国民の安全・安心を確保するため、巡視船艇15隻(代替)、航空機3機(代替)の整備を推進していくこととしています。

これら巡視船艇等23隻、航空機13機の整備を着実に進めることにより、引き続き、戦略的海上保安体制の構築、国民の安全・安心を守る業務基盤の充実・強化を推進していくこととしています。

6 監察

海上保安庁は、国民の視点に立った公正かつ効率的な行政の運営を行う義務を負い、海上保安官は国家公務員であると同時に司法警察職員として、より厳正な規律の保持が求められています。また、危険性が高い特殊な環境であっても業務を迅速かつ的確に遂行しなければならないため、常に安全に関する高い意識も求められています。

このため、本庁に首席監察官を、管区海上保安本部に管区首席監察官を設置し、業務の実施状況や事故・不祥事の監察を実施しています。

具体的には、毎年度、全国の管区海上保安本部や本部の事務所、船艇を対象に実地調査や書面調査により監察を行っています。また、事故や不祥事が発生した際には、その発生状況の調査と原因を究明します。

こうした監察により海上保安庁における問題点及び改善すべき事項を明らかにし、職場や業務環境の改善向上、事故等の未然防止や再発防止を図るとともに、公正かつ効率的な行政運営に努めています。

7 政策評価

海上保安庁では、国民の皆様のニーズに沿った行政運営を行うため、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」等に基づき政策評価を実施しています。

政策評価の基本的な方式は、以下の3種類に分けられます。

(1)政策アセスメント(事業評価方式)

新規に導入しようとする施策(予算要求、法令改正等)や既存の施策の改正等について、国土交通省の設定目標に照らして、その必要性、有効性、効率性等の観点から評価を実施しています。


(2)政策チェックアップ(実績評価方式)

主要な施策目標ごとに業績指標とその目標値を設定し、その達成度を評価しています。


(3)政策レビュー(総合評価方式)

国民の皆様の関心の高いテーマ等を選定し、総合的な評価を実施しています。

このほか、政策の特性に応じて、個別公共事業の評価や個別研究開発課題の評価等を実施しています。

また、海上保安庁は、「中央省庁等改革基本法」等に基づき、実施庁として位置付けられており、国土交通省が達成すべき目標を設定し、国土交通省が実績を評価する「実施庁評価」の対象にもなっています。

海上保安庁では、これらの政策評価を通じ、今後も、国民の皆様への行政の説明責任を徹底し、質の高い行政サービスの提供に努めます。

8 広報

近年、尖閣諸島周辺海域における領海警備や、日本海における北朝鮮漁船等による違法操業への対応、令和2年7月豪雨をはじめとする大雨被害等の自然災害への対応等により、海上保安庁に対する国民の皆様の認知度や関心が高まっています。その一方で、海上保安庁の業務は海上で行われることが多いため、国民の皆様の目に触れる機会は限られています。海上保安庁では、国民の皆様に海上保安庁の業務に対する理解を深めていただくため、

  • ●積極的な広報による情報提供
  • ●全国各地でのイベント等の開催、海上保安庁音楽隊の演奏会を通じたPR活動
  • ●インターネットを利用した情報発信や動画配信による情報提供

等の様々な広報活動を実施しています。

海上保安庁に関するお問い合わせは、総務部政務課政策評価広報室までお願いします。皆様からいただいたご意見・ご質問は、海上保安庁の業務をより良くするために活用させていただきます。

広報活動
海上保安庁SNS

海上保安庁では、TwitterやInstagramなどのSNSを活用し、イベント情報や海難救助の状況を発信、海上保安庁を身近に感じていただくための取組みを行っています。フォロー・チャンネル登録をお願いします。

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海上保安庁HP

令和3年4月より、海上保安庁HPのスマートフォン対応化や外国の方向けに英語によるHPを作成しました。

より一層のHP充実を図りますので、是非ご覧ください。

英語ver スマホver 通常ver SNS 通常ver

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かいほジャーナル

かいほジャーナルは海上保安庁の広報誌です。

全国各地の海上保安部署等の業務や特色を分かりやすく紹介しています。

令和2年度は、

  • ●北九州航空研修センターが開所
  • ●奄美海上保安部
  • ●海上保安庁「潜水業務運用開始」50周年

の特集記事を掲載しています。

全国の海上保安部署にご用意していますので、是非ご覧ください。(数に限りがあります。)

83号 84号 85号

83号

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85号


かいほジャーナル電子版

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海上保安庁音楽隊動画配信スタート!

令和2年は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、予定されていた全ての演奏会が中止となりました。

そこで、このような状況だからこそ、音楽を通じて今できることを国民の皆様にお届けしたいという強い思いから、音楽隊員一丸となり、YouTubeでの演奏動画の配信に挑戦しました。

令和2年11月末に配信した行進曲「コーストガード」を皮切りに、「錨を揚げて」や海上保安庁118番イメージモデルの篠田麻里子さん(元AKB48)とコラボし、「AKB48」が「会いたかった」のPV撮影にも使用した千葉県館山市「洲埼灯台」を使用して「会いたかった」の撮影を行い配信したほか、「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の主題歌である「炎」を演奏している動画、海上保安庁伝統の海上保安体操などを配信しています。

そして、これからも国民の皆様に楽しんでいただける演奏動画の配信を行っていきますので、是非、海上保安庁YouTubeのチャンネル登録をお願いします。

「会いたかった」
行進曲「錨を上げて」
行進曲「コーストガード」
「炎」