Column Vol.06
羅臼港沖合海域における海氷海難への対応
一管区・羅臼海上保安署
羅臼港沖合海域における海氷海難への対応
一管区・羅臼海上保安署
平成29年3月11日午前10時20分頃、羅臼海上保安署に北海道羅臼町の羅臼港から南南東約1kmの沖合で、羅臼漁協所属の刺し網漁船計8隻(56名)が羅臼漁港へ帰港中、海氷に進路を阻まれ身動きが取れなくなっているとの通報がありました。
海水に進路を阻まれた漁船群 |
羅臼海上保安署は、ただちに所属砕氷型巡視船「てしお」を発動させ現場海域に向かわせるも、厚さ約2メートルの海氷帯が「てしお」の行く手を阻み、救助作業は難航を極めました。
救助に向かう「てしお」 |
「てしお」は、航空機等からの海氷情報をもとに、海氷のより薄い海域を選定のうえ、ラミング航法(厚い氷盤等に前進を阻まれた場合、一旦後進し、惰性をつけて砕氷する方法を繰り返す航法)にて航路を確保して、漁船を漁港まで誘導し、通報から約12時間後の午後10時35分までに一人の負傷者も出すことなく全船を無事に救助しました。
漁船の先導を行う「てしお」 |
本件については、漁船出港時の午前5時半頃、海氷はまばらで十分な航路があったものの、出港後2〜3時間のうちに陸岸まで海氷が押し寄せ、帰港途中の漁船が巻き込まれたもので、海氷に起因する海難としては、平成24年2月に北海道宗谷岬沖で外国貨物船が海氷と衝突した海難以降5年ぶりの海氷海難となりました。
第一管区海上保安本部では、毎年冬季に「海氷情報センター」を開所し、オホーツク海など海氷が発生する海域を航行する船舶に対して、海氷速報や海の安全情報などにより最新の情報を提供して海難事故の未然防止に努めるほか、今後とも、日ごろの訓練等を通じ技能の維持向上を図ることで、北海道で発生する様々な海難に迅速かつ的確に対応していきます。
事故当日の海氷分布図 |