近年、東シナ海の我が国周辺海域において、二国間の地理的中間線を越えた一方的な境界画定を主張している国があります。
沿岸国は、国連海洋法条約の関連規定に基づき、領海基線から200海里までのEEZ及び大陸棚の権原を有していますが、東シナ海をはさんで向かい合っている日中・日韓それぞれの領海基線の間の距離は400海里未満ですので、双方のEEZ及び大陸棚が重なる部分について、相手国との合意により境界を画定する必要があります。
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CHAPTER III. 海洋境界をめぐる主張への対応
近年、東シナ海の我が国周辺海域において、二国間の地理的中間線を越えた一方的な境界画定を主張している国があります。 沿岸国は、国連海洋法条約の関連規定に基づき、領海基線から200海里までのEEZ及び大陸棚の権原を有していますが、東シナ海をはさんで向かい合っている日中・日韓それぞれの領海基線の間の距離は400海里未満ですので、双方のEEZ及び大陸棚が重なる部分について、相手国との合意により境界を画定する必要があります。 中国及び韓国の大陸棚延長申請への対応
中国及び韓国は、東シナ海における境界画定は東シナ海の特性を踏まえるべきであり、沖縄トラフで大陸性地殻が切れると主張し、平成24年12月、大陸棚限界委員会に対し、沖縄トラフまでを自国の大陸棚とする大陸棚延長申請を行いました。昭和57年に採択された国連海洋法条約の関連規定とその後の国際判例に基づけば、向かい合う国の距離が400海里未満の水域において境界を画定するにあたっては、自然延長論が認められる余地はなく、また、沖縄トラフのような海底地形に法的な意味はありません。したがって、大陸棚を沖縄トラフまで主張できるとの考えは、現在の国際法に照らせば根拠に欠けます。 ※国連海洋法条約は、沿岸国の大陸棚を領海基線から200海里と定める一方、海底地形等の条件を満たせば、200海里を超える大陸棚を設定できることを定めている。 中国及び韓国の大陸棚延長申請に対する我が国の立場は、「国連海洋法条約の関連規定に従って、両国間それぞれの合意により境界を画定する必要があり、中国及び韓国の大陸棚延長申請については、審査入りに必要となる事前の同意を与えていない」というものであり、大陸棚限界会員会に中国及び韓国の申請を審査しないよう求めた結果、同委員会は審査を行わないと決定しています。中国及び韓国の大陸棚延長申請の審査順が到来しても、現在のところ、審査の実施は想定されていません。 しかしながら、中国及び韓国は海洋調査体制を強化しており、我が国としても科学的調査データを収集・整備しておく必要があります。 海上保安庁では、我が国の海洋権益を確保するため、外務省等と協力・連携し、他国による日本とは異なる境界画定の主張に対応するために必要な海洋調査を計画的に実施していきます。
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