陸上でも活躍!! 〜台風災害への支援〜
第一管区海上保安本部
平成27年9月の関東・東北豪雨災害をはじめ、たとえ内陸の災害であったとしても、海上保安庁は、その時々の情勢に応じて必要な支援を行ってきました。平成28年8月、北海道に1951年からの観測史上初となる1ヶ月間に3つの台風が上陸し、内陸部を中心に大雨による河川の氾濫や土砂崩れによる道路の寸断等、甚大な被害が発生しました。
台風9号通過の翌日である8月24日夕刻、羅臼町から、「町内で土砂崩れが発生、対策本部を設置します。」との連絡が羅臼海上保安署にあり、同保安署では、直ちに対策本部に職員を派遣するとともに、土砂崩れの現場を確認したところ、海岸沿いに走る「知床公園羅臼線」が寸断され、266世帯760名もの町民等が孤立状態であることが判明しました。
孤立地区への警察官等搬送(台風9号) |
町からの要請を受け、翌日早朝から、巡視艇「かわぎり」により、警察、役場、電力会社等の職員を孤立地区へ搬送するともに、取り残されている旅行者や急患等の搬送業務に当たりました。
自治体からは、当庁の迅速な対応に謝意が寄せられるなど、地元から厚い信頼を得たことを実感する事案対応となりました。
土砂で寸断された知床公園羅臼線 |
また、同月31日には、北海道に接近した台風10号の大雨の影響により、十勝地方を中心に多くの河川が氾濫し、多数の行方不明者及び孤立者が発生しました。
第一管区海上保安本部では、ただちに職員を道庁や各地の総合振興局等へ派遣し、道庁からの要請を受け、ヘリコプターにより行方不明者の捜索に当たりました。
9月3日には、芽室町美生ダムにとり残された作業員2名の救助に当たることとなり、視界不良の難しいミッションでしたが、一瞬の雲の切れ間を縫って、無事に孤立者を救助することができました。
美生ダム孤立者救助状況 |
慣れない内陸山間部での救助活動は、洋上とは異なり、周辺地形の情報不足や山間部特有の天候急変や乱気流への対応等、乗員の高度な判断や技術を要する困難な救助業務でした。
芽室町長からは、「まさか(内陸の)芽室で海上保安庁に救助してもらえるとは思っていなかった。」と感謝の気持ちが北海道危機管理監経由で伝えられました。
今後も、第一管区海上保安本部では、当管区が有する高い機動力を発揮して、北海道で発生する様々な自然災害に迅速かつ的確に対応できるよう、関係機関との連携強化に取り組んでいきます。