Column Vol.09
スリランカ沿岸警備庁への油防除技術支援
本庁警備救難部
スリランカ沿岸警備庁への油防除技術支援
本庁警備救難部
スリランカは、インド洋のシーレーン上の要衝に位置し、その地政学的及び経済的重要性が注目されている国です。
国土面積は日本の8割程度ですが、2.1万平方キロメートルの領海、51.7万平方キロメートルの排他的経済水域を有し、海運、漁業、観光等の海洋に関する産業がGDPの約5割を占めます。
このため、スリランカ付近海域でひとたび油流出事故が発生すれば、航行する船舶の安全に悪影響をおよぼすだけでなく、同国の環境や経済に深刻なダメージを与えるおそれがあります。
海上保安庁は(独)国際協力機構(JICA)と協力して、第三管区海上保安本部横浜機動防除基地の職員を短期専門家として派遣し、2010年に設立されたスリランカ沿岸警備庁(SLCG)に対して油防除能力強化を目的とした技術支援を平成27年1月から実施しています。
これまで3回の派遣でSLCG職員延べ137名に対し油防除の研修を実施してきました。
我々の支援に対するSLCG職員の姿勢は熱意に満ちており、専門家から学んだ油防除に関する知識・技能を吸収して自分たちのものにしています。
実際、スリランカ南部アクレッサでガソリンスタンドの地下貯蔵タンクから軽油12キロリットルが土中に流出し、地元住民が飲料水として使用するニルワナ川に軽油が滲みだした事故に対して、SLCGはこれまでに習得した知識・技能及びJICAから供与を受けた油防除資機材を活用し、取水口への浮流油の侵入防止措置等を行いました。後日、SLCGの適切な対応が地元住民の生活を守ったとテレビや新聞で大きく報道されるなど、これまでの支援が具体的な成果として現れています。
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