海上保安庁では、地震、台風、豪雨、火山等による自然災害が発生した場合には、人命・財産を保護するために災害応急活動を実施するほか、被災地の復旧・復興のため、灯台等の航路標識の復旧や海上交通路の速やかな啓開、海図の改訂等に努めています。
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4 災害に備える
CHAPTER II 自然災害対策
海上保安庁では、地震、台風、豪雨、火山等による自然災害が発生した場合には、人命・財産を保護するために災害応急活動を実施するほか、被災地の復旧・復興のため、灯台等の航路標識の復旧や海上交通路の速やかな啓開、海図の改訂等に努めています。 ■1 東日本大震災からの復旧・復興と自然災害への対応
海上保安庁では、引き続き、地元の第二管区海上保安本部を中心に、潜水士による潜水捜索や警察、消防と連携して沿岸部での捜索を実施しています。平成25年は2名のご遺体を発見しました。また、被災地での海上交通の安全を確保するため、被災した灯台等の航路標識158基のうち156基を復旧するとともに、被災港湾の水路測量を実施し、石巻港ほか11図の海図を改版しました(平成26年3月31日現在)。 このほか、平成25年10月に発生した台風26号による伊豆大島の土砂災害では、巡視船・航空機による被害状況の調査、人員等の輸送、行方不明者の海上捜索を実施するとともに、潜水士による潜水捜索を実施し、2名のご遺体を揚収しました。 ■2 今後起こりうる自然災害を見据えた対策
海上保安庁では、近い将来の発生が懸念されている南海トラフの巨大地震・首都直下地震等、今後起こり得る自然災害に備え、また東日本大震災への対応の経験も踏まえ、関係機関との合同訓練に参画する等、地域との連携強化を図るとともに、平成25年度には、災害対応能力を強化した1,000トン型巡視船2隻及び大型巡視艇6隻の配備などを実施しました。 また、自然災害に伴う航路標識の倒壊や消灯等を未然に防止し、災害時でも被災地の海上交通安全を確保するために、航路標識の耐震・耐波浪補強や自立型電源化 (太陽電池化)による防災対策を推進しています。
海上保安庁では、防災に関する情報の整備・提供も行っています。 平成25年11月に新島が出現した西之島がある南方諸島や南西諸島等の活発な火山活動が確認されている火山島や海底火山について、海底地形、地下構造等の調査、火山の活動状況の監視を実施し、付近を通航する船舶の安全に支障を及ぼすような状況がある場合には、航行船舶等に注意喚起等を行っています。また、船舶の津波避難計画の策定等に役立つように、大規模地震による津波被害が想定される沿岸海域を対象に、予測される津波の到達時間や波高、流向・流速等を記載した「津波防災情報図」を整備、提供しています。このほか、自治体での津波ハザードマップの作成に活用するため、海底地形のデータを提供しています。加えて、将来の海溝型地震の発生が予想される南海トラフや東北地方太平洋沖地震後の挙動が注目される日本海溝において、大陸プレート上に海底基準点を設置して、その動きを探る海底地殻変動観測を実施しています。これによって、想定震源域直上の海底の詳細な地殻変動データを整備し、巨大地震の発生メカニズム解明に貢献しています。 災害応急対応に当たっては、関係機関との連携が重要であることから、平成25年は自然災害に備えた合同訓練を234回実施しました。また、東日本大震災の教訓を踏まえて、迅速な対応勢力の投入や非常時における円滑な通信体制の確保等を念頭に置いた防災訓練を関係機関と連携して実施しているほか、主要な港では、関係機関による「船舶津波対策協議会」を設立し、海上保安庁が収集・整理した津波防災に関するデータを活用しながら、必要な対策を検討しています。
海上保安庁では、東日本大震災被災地の復旧・復興を継続するとともに、今後起こりうる自然災害に備え、巡視船艇・航空機等の必要な体制の整備や、関係機関との連携強化、防災に関する情報の整備・提供、航路標識の防災対策等を引き続き推進していきます。 |