海上保安レポート 2013

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 領海・EEZを守る海上保安庁


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 交通の安全を守る

7 海をつなぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編

6 交通の安全を守る > COLUMN Vol.08 海上保安庁で最後の設標船「ぎんが」が解役
6 交通の安全を守る
COLUMN Vol.08
海上保安庁で最後の設標船「ぎんが」が解役 第六管区海上保安本部

第六管区海上保安本部所属の設標船「ぎんが」は、昭和55年3月の就役以来、広島港を基地として瀬戸内海を中心に灯浮標の設置・交換作業等に従事してきましたが、設標船として最高齢の32歳で任務を終え、平成24年3月31日に解役となりました。

「ぎんが」は海上保安庁最後の設標船で、これまで約4500基の浮標作業を実施し、航走距離は約52.7万km(地球約13周)に及び、平成22年には小笠原諸島の父島まで派遣されました。

設標船は、巡視船と異なり船体も灰色で目立たない存在ですが、戦後復興の時期から海上交通の安全確保を支えてきました。設標船が昭和26年に誕生後、当庁が所管している灯浮標の約3割を管理する第六管区海上保安本部には、「うじな」、初代「ほくと」、初代・二代目「ぎんが」、初代・二代目「みょうじょう」と全国一の6隻が所属しました。

かつて、海上に設置される航路標識の様式等は世界的に統一されず、航海者に混乱を与える時期もありましたが、昭和55年に東京で開催されたIALA(国際航路標識協会)の会議において「IALA海上浮標式」が国際標準として採択されました。「ぎんが」は、同型の「ほくと」(第三管区)、「かいおう」(第七管区)等の設標船とともに、海上標識の世界方式への変更を短期間で達成するなど日本の「海の道」の国際化に多大な貢献をしました。

解役前の3月16日に開催された「ぎんが」の一般公開・解役式には、前日に東京で開催された航路標識測定船「つしま」の解役式を見学した後に広島まで移動してきた見学者が開始2時間前から待ち構えるなど、熱心なファンが多数集まりました。

解役式は、「ぎんが」の功績と乗組員の労をねぎらう三木本部長の式辞で始まり、手塚船長から国旗・庁旗が本部長に返納された後、お別れを惜しむ涙雨のように小雨が降り始める中、献酒と船型番号の抹消が行われました。式の終わりには地元の幼稚園児から全乗組員に慰労を込めた花束が贈呈されました。

灯浮標の交換作業を行う「ぎんが」
▲灯浮標の交換作業を行う「ぎんが」