海上保安レポート 2011

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 新たな海洋立国に向かって


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 領海等を守る

3 生命を救う

4 青い海を護る

5 災害に備える

ChapterI 事故災害対策
ChapterII 自然災害対策
COLUMN Vol.07 奄美集中豪雨災害に海陸空から対応!

6 海を識る

7 交通の安全を守る

8 海を繋ぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編


おわりに

5 災害に備える > COLUMN Vol.07 奄美集中豪雨災害に海陸空から対応!
5 災害に備える
COLUMN Vol.07
奄美集中豪雨災害に海陸空から対応!第十管区海上保安本部

平成22年10月20日、鹿児島県奄美地方を記録的な集中豪雨が襲い、土砂崩れによる陸路の寸断や、冠水による住民の孤立等、各地で甚大な被害が発生しました。第十管区海上保安本部と奄美海上保安部では、直ちに「奄美大島集中豪雨災害対策室」を設置し、巡視船艇5隻、航空機3機を出動させました。

この災害の約1週間前、奄美海上保安部と大島地区消防組合は「水難事故に係る協力に関する覚書」を締結、協力体制を強化していたところであり、直ちに巡視艇「いそなみ」の潜水士2名が救急車に同乗し、孤立者救助に向いました。

冠水のため、救助地区の6km手前から徒歩で向かうことになりましたが、膝下だった泥水の水位も、腰、胸元と徐々に深さを増し、ついに足がつかない程になりました。このため潜水士は、持参したゴムボートに消防隊員を掴まらせ、自らボートを曳いて泳ぎ、激しい濁流のところでは先に対岸まで泳ぎ、ロープを張って1人ずつ運びました。こうして、出動から約2時間30分後、ようやく救助地区に到着し、冠水や土砂だらけという厳しい状況の中、警察官や消防隊員と協力のうえ、医師や避難中のお年寄り等約120名を搬送しました。

一方、陸路の寸断を受け、負傷者や人工透析が必要な患者等49名を巡視船艇で海上搬送したほか、電話等の通信手段の断絶で被害状況の把握が困難だったことから、ヘリコプターにより被害状況等の撮影を行いました。

さらに、「第十管区機動情報通信隊」を編成、奄美空港ビルに機材を設置し、当庁撮影の映像を鹿児島県等の関係機関や総理官邸に伝送するとともに、報道機関に提供し、被害状況の早期把握に貢献しました。

巡視船による急患の搬送
▲巡視船による急患の搬送
寸断された道路
▲寸断された道路