海上保安レポート 2011

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 新たな海洋立国に向かって


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 領海等を守る

3 生命を救う

4 青い海を護る

5 災害に備える

6 海を識る

7 交通の安全を守る

8 海を繋ぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編


おわりに

4 青い海を護る > ChapterII 海上環境事犯への対応
4 青い海を護る
ChapterII 海上環境事犯への対応

海上保安庁では、海洋汚染につながる油や有害液体物質の排出、廃棄物の投棄、工場からの汚水の垂れ流し等の不法行為の監視、取締りを実施し、海洋環境の保全に努めています。

平成22年の現況

1 海上環境関係法令違反の状況

平成22年に海上保安庁が摘発した海上環境関係法令違反の送致件数は638件でした(前年比101件減少)。種類別に見ると、海岸等における廃棄物の不法投棄や不法焼却等が161件と最も多く、次いで、船舶からの油の不法排出が140件となっています。

これらの違反は、適正な処理費用や設備の整備費用を惜しんでの不法行為が後を絶たず、その形態も、夜陰にまぎれた不法排出や不法投棄、船名や船舶番号を隠匿したうえでの廃船の投棄等、悪質・巧妙なケースが見受けられます。


2 廃棄物不法投棄の状況

不法投棄された漁具
▲不法投棄された漁具

平成22年に送致した陸上から海域への廃棄物不法投棄事犯の件数は135件でした(前年比12件増加)。

主なものとして、漁業者や水産加工場が魚介類を加工した後の残さを不法に投棄した事案、漁業者が使用して不要となった漁具や養殖筏等を不法に投棄又は焼却した事案など、漁業活動に伴う廃棄物の不法投棄等事犯が多数発生しました。


3 外国船舶による海洋汚染の状況

平成22年に海上保安庁が我が国周辺海域において

確認した海洋汚染件数477件のうち、外国船舶によるものは37件でした(前年同)。このうち36件が油による

汚染であり、海域別に見ると、我が国領海内が28件、領海外(排他的経済水域(EEZ)又は公海)が8件でした。


◆ 外国船舶による環境事犯への対応

外国船舶による環境事犯については、領海に加え、EEZにおいても取締りを行っていますが、船舶の航行の利益を考慮し、担保金制度を適用しています(平成22年担保金制度適用件数:17件)。

また、我が国の法令を適用できない公海等において外国船舶の油の違法排出を確認した場合は、国際条約に基づき、当該船舶の旗国に対して違反事実の通報を行い、適切な措置を求める旗国通報制度を適用しています(平成22年旗国通報制度適用件数:1件)。


■海上環境関係法令違反送致件数の推移
海上環境関係法令違反送致件数の推移
今後の取組み

巡視船艇・航空機及び陸上からの監視取締り体制を強化してきたことにより、海上環境法令違反の送致件数は、平成22年も638件と高い水準で推移しています。

今後も引き続き地方自治体・警察等関係機関、ボランティア団体や地域住民等との連携を深めていくとともに、「118番」通報を活用したきめ細かい情報収集体制を構築していきます。また、引き続き、海陸空一体となった監視取締りの強化にも努めていきます。