海洋汚染を防止するためには、国民の皆さんの海洋環境の保全に関する意識を高めていただくことが不可欠です。海上保安庁では、海洋環境の保全のため、「未来に残そう青い海」をスローガンに、指導・啓発活動に取り組んでいくとともに、海洋汚染発生状況の把握、汚染源の特定等による新たな汚染の防止を図っていきます。
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4 青い海を護る
ChapterI 海洋環境保全対策
海洋汚染を防止するためには、国民の皆さんの海洋環境の保全に関する意識を高めていただくことが不可欠です。海上保安庁では、海洋環境の保全のため、「未来に残そう青い海」をスローガンに、指導・啓発活動に取り組んでいくとともに、海洋汚染発生状況の把握、汚染源の特定等による新たな汚染の防止を図っていきます。 1 海洋汚染の状況
海上保安庁では、巡視船艇・航空機等による監視や「118番」通報、測量船による調査等をもとに、海洋汚染の発生状況等の把握に努めています。平成22年は、油、廃棄物、有害液体物質、赤潮、青潮等による海洋汚染の発生を477件確認しました(前年比37件減少)。種類別に見ると、依然として油の排出が300件と最も多く、次いで、廃棄物の投棄が126件となっています。油の排出の主な原因としては、取扱不注意等の人為的ミスによるものが多くなっています。 2 海洋環境保全活動
海洋環境保全に対する国民の皆さんに意識を高めていただくため、海上保安庁では、全国各地で海洋環境保全に関する指導・啓発活動を実施しています。特に、6月は毎年、「海洋環境保全推進月間」として、「未来に残そう青い海」をスローガンに掲げ、海事・漁業関係者等を対象とした海洋環境保全講習会や一般市民を対象とした啓発活動等を実施しています。
3 海洋環境調査活動
海上保安庁では、日本周辺海域における海洋汚染の状況を把握するため海洋汚染調査や放射能調査を実施しています。平成5年にロシアによる日本海・オホーツク海への放射性廃棄物投棄の事実が判明したことから、平成6年から日本海等において、日本への影響を調査するため、毎年放射能調査を実施しています。 1 海洋環境保全のための指導・啓発活動の推進 海洋汚染の多くは人為的要因により発生しています。海洋汚染を防止するためには海洋環境保全に関する意識を高めていただくことが必要です。このため海上保安庁では、海事・漁業関係者等に対する海洋環境保全講習会や訪船指導等を通し、法令遵守指導を行うとともに、海上保安協力員等のボランティアや地方公共団体等と連携し、広く一般国民に対し海洋環境保全の指導・啓発活動を推進していきます。 2 海洋環境の調査 海上保安庁では、海洋環境の現状を正確に把握するため、定期的に測量船等により海水及び海底堆積物を採取し、それぞれに含まれる汚染物質の分析をしています。今後も、引き続き、東京湾等各主要湾における油分、PCB、重金属等の海洋汚染調査や日本周辺海域及び米国原子力艦の寄港地である、横須賀港(神奈川県)、佐世保港(長崎県)、金武中城港(沖縄県)において、定期的に放射能の調査を実施していきます。 3 全国海の再生プロジェクト
東京湾のように背後に大都市を抱えた閉鎖性の高い海域は、生活排水等が大量に流れ込むうえ、外海との海水の交換が起こりにくく、赤潮の発生等、水質汚濁が慢性化しています。こうした海域では、水質環境の把握及び汚濁メカニズムの解明のため、国、自治体、大学・研究機関、民間企業等の幅広い機関が参加して「全国海の再生プロジェクト」が全国各地で実施されています。海上保安庁では、環境モニタリング等の各種活動を関係機関と連携し推進していきます。 「未来に残そう青い海・図画コンクール」海上保安庁長官賞受賞作品
海上保安庁では、海洋環境保全思想の普及・啓発のため、毎年、6月の海洋環境保全月間の実施に合わせて、全国の小中学生を対象に、「未来に残そう青い海」をテーマとした美しい海の必要性を連想させる図画のコンクールを行っています。 平成22年は、全国で34,947点の作品が応募されました。
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