海難及び人身事故の約9割が沿岸から約20海里(約37キロメートル)未満で発生しており、沿岸域における活動が主である小型漁船及びマリンレジャーに関する海浜事故等、沿岸域における安全推進が重要なものとなっています。
海上保安庁では、このような事故を防止し、沿岸域における死者・行方不明者数を減少させるため、関係機関と協力し自己救命策確保等に関する指導や啓蒙活動を推進していきます。
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3 生命を救う
ChapterII 沿岸域活動における安全推進
海難及び人身事故の約9割が沿岸から約20海里(約37キロメートル)未満で発生しており、沿岸域における活動が主である小型漁船及びマリンレジャーに関する海浜事故等、沿岸域における安全推進が重要なものとなっています。 海上保安庁では、このような事故を防止し、沿岸域における死者・行方不明者数を減少させるため、関係機関と協力し自己救命策確保等に関する指導や啓蒙活動を推進していきます。
小型漁船における平成22年の海難及び船舶からの海中転落による事故者数は、1,043人で、自力又は救助機関等により救助されたのは947人(うち救助機関等によるもの477人)でした。このうち147人を海上保安庁が救助しました。 また、平成22年のマリンレジャーに伴う海浜事故者数は846人で、自力又は救助機関等により救助されたのは534人(うち、救助機関等によるもの452人)でした。このうち70人を海上保安庁が救助しました。 海中転落者はライフジャケットを着用していることで、体力の消耗を抑え、生存の可能性が非着用時に比べ格段に高まります。また、早期通報も迅速な救助活動につながります。 このため海上保安庁では、海難防止強調運動等において、テレビ、インターネット等で、ライフジャケットの着用や海難発生時の「118番」による早期通報等の自己救命策確保についての啓発活動を推進しています。
1 自己救命策確保キャンペーンの推進
海での痛ましい事故を引き起こさないためには、 (1) ライフジャケットの常時着用 (2) 防水パック入り携帯電話等の連絡手段の確保 (3) 海のもしもは「118番」 の「自己救命策3つの基本」が重要です。 海上保安庁では、メディア等あらゆる機会を通じて、3つの基本の周知・啓発活動を実施し、「自己救命策確保キャンペーン」を展開していきます。 漁船乗船者に対しては、ライフジャケット着用率を向上させるため、海難防止講習会における指導を行なっています。また、ライフジャケット着用率向上を目指すLGL(LIFE GUARD LADIES, 女性ライフジャケット着用推進員)は、全国で2,474人(前年比897人増)であり、漁業従事者である家族への助言等の活動を行っています。海上保安庁では同活動の支援等を通じて、ライフジャケット着用の普及・啓発に努めています。 マリンレジャーの安全に関しては、若年層に対する海上安全教室の開催や各種イベントへの協力により周知・啓発活動を行ない、マリンレジャーを安全に楽しめるように努めます。また、各海上保安部署にマリンレジャー行事相談室を設置し、国民の皆様からの問い合わせや相談に対応していきます。 2 民間関係組織との連携 海上保安庁では、プレジャーボートの運航者に対する海上安全活動を行う海上安全指導員の支援のほか、海上安全講習会や安全パトロール活動といった地域に密着した小型船安全協会の活動等との連携を進めていきます。 3 プレジャーボートに対する安全指導
法令に基づいた定期・中間検査を受検しないままの小型船舶の航行や、免許証を持たない者の操縦は重大な海難に結びつくおそれがあります。 このため、小型船舶に対する積極的な指導・取締りを実施し、海事関係法令の遵守を徹底させ船体・機関の整備不良や無資格運航等による事故の未然防止に努めていきます。 また、小型船舶操縦者が遵守すべき事項である ● 危険操縦及び酒酔い操縦の禁止 ● ライフジャケットの着用 ● 狭い水路通過時や水上オートバイ乗船時等における有資格者による自己操縦の義務付け 等に関しても徹底した指導・啓発を行っていきます。 1,700km先の命、救助の緊急要請!
平成22年6月10日午後9時半頃、漁船「第85稲荷丸」から第二管区海上保安本部に「金華山沖東南東約1,700kmの太平洋を航行中に乗組員が腹痛を起こし救助願う」旨の通報がありました。 医師の電話による診察結果を受け船主から洋上救急の要請が出され、当庁は直ちに巡視船「えりも」、民間医師同乗の巡視船「つがる」、巡視船「つがる」搭載ヘリコプター「MH564」を出動させ事案の対応にあたりました。 このように、長距離救助の際には、事案に対応可能な巡視船の調整、特殊救難隊・潜水士の派遣や、ヘリコプターの残燃料、ヘリコプターの着船技術等を考慮した、高度なオペレーション能力が要求されます。また、(社)日本水難救済会の事業による民間医療機関等からの医師の派遣といった当庁以外の様々な方の協力も必要です。 これら様々な連携の結果、洋上での安全が守られています。
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