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特集2 救難現場の最前線〜これがリアル「海猿」〜
Column Vol.02
海の流れを知って人命救助 第三管区海上保安本部
「うみにおふねをうかばせて〜いってみたいなよそのくに〜」という童謡があります。海には人や物を遠くまで運ぶ“海の流れ”が存在します。条件が揃えば「よそのくに」まで行くこともできるでしょう。しかし、海の事故のときは海の流れはやっかいです。人や転覆船等を遠くまで漂流させてしまいます。 海での捜索のときには、どこに漂流するかを予測する漂流予測を行います。漂流予測では、海の流れを知ることが大切です。海の流れの観測方法はさまざまで、「船に機器を取り付けて観測する方法」や「浮体を海に流す方法」等があります。残念ながら、これらの観測方法には必ず短所があります。例えば、船では精度の良い海の流れが観測できますが、広い海のごく一部に限られます。海の流れの観測方法の種類を増やすことが出来れば、それぞれの短所を補うことができ、より漂流予測に適した海の流れを知ることができるようになります。 第三管区海上保安本部では、人工衛星が観測した水温から、海の流れを計算するシステムを開発し、手薄だった沿岸域の海の流れを広範囲に知ることができるようになりました。 漂流予測の精度向上のための取り組みは着実に実を結んでおり、伊豆大島東方での船舶衝突事故や八丈島沖での漁船の転覆事故等で多くの実績をあげています。これからも漂流予測の精度向上の取り組みを続けて、人命救助に貢献していきます。
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