海難事故の中でも、危険物積載船の火災や爆発、転覆した船内からの生存者救出などの高度な救助技術を要する場合は、困難な環境下での救助能力を有する潜水士、機動救難士及び特殊救難隊が、現場へ急行し、持てる経験、知識、技術すべてを駆使して救助活動を行います。
ここでは、これら救難のスペシャリストをご紹介します。
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特集2 救難現場の最前線〜これがリアル「海猿」〜
2.救難のスペシャリスト
海難事故の中でも、危険物積載船の火災や爆発、転覆した船内からの生存者救出などの高度な救助技術を要する場合は、困難な環境下での救助能力を有する潜水士、機動救難士及び特殊救難隊が、現場へ急行し、持てる経験、知識、技術すべてを駆使して救助活動を行います。 ここでは、これら救難のスペシャリストをご紹介します。 (1)潜水士
潜水士は、転覆した船舶や沈没した船舶などから、潜水により遭難者を救出したり、漂流者を捜索することなどを担当します。潜水士は、巡視船艇乗組員の中から選抜され、厳しい潜水訓練を受けた後、指定された巡視船艇で業務に当たっています。 (2)機動救難士
海難船舶の遭難者や海上で漂流する遭難者を、ヘリコプターにより迅速に救助する専門チームです。ヘリコプターからの降下技術や潜水等の救助技術を有しており、さらには隊員の約半数は救急救命士の資格を有しています。平成14年に発足し、平成22年4月現在、全国6か所の航空基地等に配置しています。 (3)特殊救難隊
転覆した船や火災を起こした危険物積載船等における人命救助や火災消火等、高度な救助技術と専門的知識を必要とする特殊な海難に対応するための救助のスペシャリストです。航空機で全国に即座に展開できるよう、羽田空港内に羽田特殊救難基地が設置されています。 昭和50年に発足し、平成22年4月現在、34年目を迎え、救急救命士を含む6隊体制で24時間出動できる体制をとっています。
海中転落者を12時間ぶりに救助
平成21年11月1日午後9時14分頃、室戸岬東方約50kmの地点から発せられた遭難信号を海上保安庁が受信しました。 直ちに巡視船艇・航空機を発動し、遭難信号発信位置に急行させたところ、同日午後11時6分頃、同位置付近で、当庁ヘリコプターが漂流中のヨットを発見しました。無線により詳細を確認したところ、男性1名が海中転落したことが判明したため、引き続き付近海域の捜索を行い、2日午前8時27分頃、ライフジャケットを着用し漂流している男性を発見、同乗していた機動救難士が海面に降下のうえ、吊り上げ、約12時間ぶりに救助しました。
転覆漁船内から救助
平成21年12月21日午前9時13分頃、航行中の船舶から海上保安庁に対し、佐田岬北西海域で漁船が転覆しているとの通報がありました。 海上保安庁では、直ちに巡視船艇・航空機を発動し、現場海域の捜索に当たったところ、午前10時20分頃、捜索中のヘリコプターが、破口を生じ、船底を上に向けた状態で漂流している漁船を発見しました。このため、福岡航空基地機動救難士及び巡視船「やまくに」の潜水士が船内の捜索を行い、午前11時21分頃、同船の操舵室内において船長を発見、その後船長を船外に救出しました。救出された船長は、巡視艇「せきかぜ」により、最寄の港まで搬送され、救急車に無事引継がれました。
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