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青い海を護る
2. 海上環境事犯の摘発
目標
海域への廃棄物の不法投棄、油や汚水の不法排出等海上環境事犯は依然として後を絶ちません。海上保安庁では、海洋環境を汚染する不法行為を摘発し海洋環境の保全に努めています。
平成20年の現況
(1)海上環境関係法令違反の状況
平成20年の海上環境関係法令違反に係る送致件数は639件と4年連続で600件台を推移しています。法令別では、船舶からの油の不法排出、廃船の不法投棄などを取り締まる「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」(以下「海防法」という。)及び船舶以外からの廃棄物の不法投棄を取り締まる「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」にて、海上環境関係法令違反の約9割を占めています。
違反の態様は、船舶からの油の不法排出事犯が195件と最も多く、続いて海岸などにおける廃棄物の不法投棄や不法焼却が190件、廃船等の不法投棄が83件となっています。
(2)投棄船舶への対応
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▲投棄された小型船舶を調査する海上保安官 |
海上保安庁が確認している投棄船舶(廃船)は1,134隻であり、前年に比べ238隻減少しました。このうち平成20年に処理された船舶は、全体の約54%にあたる611隻、未処理の船舶は523隻となっています。なお、廃船1,134隻のうち565隻に「廃船指導票」貼付による指導を行い、このうち248隻が処理されました。
(3)外国船舶による海洋汚染の状況
平成20年に我が国周辺海域において発生した海洋汚染の確認件数555件のうち、外国船舶によるものは45件(前年比5件増)であり、全て油によるものでした。これら外国船舶の海洋汚染については、「海防法」違反として、30件を摘発し、条約の規定に則りボンド制度(担保金制度)を適用すると共に、公海等における海洋汚染3件に対して、条約の規定に則り旗国における適正処分を促す旗国通報を行いました。
今後の取組み
最近の海上環境事犯は、廃棄物処理に関する法規制の強化や監視取締りの厳しさが増す中、その目を逃れるため夜陰に乗じかつ沖合で移動しながら建設廃材や廃油等を投棄したり、投棄船舶の船名を削り取り証拠隠滅を図るなど、犯行手口が悪質・巧妙化の傾向にあります。
このため、引き続き地方自治体・警察等関係機関、防犯団体、ボランティア団体や地域住民等と連携を深めていくとともに、緊急通報用電話番号「118番」通報を活用したきめ細かい情報収集体制を構築していきます。また、巡視船艇・航空機を有効活用し、夜間における海洋汚染の取締り強化にも努めていきます。
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▲海上浮流油を採取する巡視艇 |
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▲夜陰に乗じ重機で建設廃材を不法投棄する船舶
(航空機から赤外線暗視装置にて撮影) |
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▲関係者の立ち会いのもと排出水を採取する海上保安 |
サミット直前の北海道洞爺湖町で汚水を排出した水産加工会社を検挙
平成20年4月、室蘭海上保安部(北海道)は、水産加工品の製造過程で生じた基準値を最大9.7倍上回る浮遊物質量等を含む汚水を海に排出したとして、水産加工会社社長ほか1名及び法人を水質汚濁防止法違反で検挙しました。第一管区海上保安本部(北海道)では環境問題を話し合う北海道洞爺湖サミットを控え、海上環境事犯の取締りを強化していました。
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▲海に流れ込む汚水 |
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