海上保安レポート 2009
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はじめに


TOPICS 海上保安の一年

特集


海上保安庁の任務・体制


■本編

治安の確保

領海等を守る

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

交通の安全を守る

海を繋ぐ


目指せ!海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編


本編 > 青い海を護る > 1. 海洋環境保全対策
青い海を護る
1. 海洋環境保全対策
目標
 海洋環境の保全のため、海洋汚染発生状況の把握、汚染源の特定等による新たな汚染の防止、指導・啓発活動に取り組んでいきます。
平成20年の現況
(1)海洋汚染の状況

海上保安庁では、巡視船艇・航空機による監視や緊急通報用電話番号「118番」通報、測量船等による海洋汚染調査等をもとに、油や廃棄物等による海洋汚染の発生状況や海洋環境の把握に努めています。

平成20年は、油、廃棄物、有害液体物質、赤潮青潮等による海洋汚染の発生を555件確認し、平成19年より78件増加しています。種類別に見ると、油によるものが373件、廃棄物によるものが126件であり、依然として海洋汚染は後を絶ちません。

なお、これらのデータは海上保安庁のホームページで公開しています。

海洋汚染の現状(統計資料) http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/tokei/index.htm

海洋汚染調査・放射能調査の報告書
     
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KANKYO/OSEN/oceanenv.html


(2)海洋環境保全活動

海洋環境保全意識を高めるため、油等の排出防止及び海洋汚染防止関係法令の遵守を促す指導・啓発活動を、周年を通じ全国各地で実施しています。特に6月を「海洋環境保全推進月間」として、海事・漁業関係者を対象とした海洋環境保全講習会や船舶乗組員を対象とした訪船指導を精力的に実施しました。

また、海洋環境保全推進員等のボランティアと協力して、海洋環境保全教室の開催、街頭やイベント会場での啓発活動のほか、海岸漂着ごみの分類調査等を行い、海洋環境保全思想の普及に努めました。

海洋環境保全教室(海岸清掃・漂着ごみ分)
▲海洋環境保全教室(海岸清掃・漂着ごみ分)
●排出原因別に見た油による汚染
排出原因別に見た油による汚染

●排出原因別に見た油以外のものによる汚染
排出原因別に見た油以外のものによる汚染

●海洋汚染発生確認件数の推移
海洋汚染発生確認件数の推移
海洋環境保全教室

海上保安庁では、海洋環境保全推進員等のボランティアと協力して、小学生や幼稚園児等を対象にした「海洋環境保全教室」を随時開催しています。この教室では、環境に関する紙芝居や水質実験等を通して、海洋環境保全の大切さを訴えています。

海洋環境保全教室の開催を希望する小学校等がありましたら、お近くの海上保安部署にお問い合わせください。

海洋環境保全教室(紙芝居)
▲海洋環境保全教室(紙芝居)
海洋環境保全教室(実験)
▲海洋環境保全教室(実験)
海洋環境保全教室(漂着ごみ分類調査)
▲海洋環境保全教室(漂着ごみ分類調査)


「未来に残そう青い海・図画コンクール」 海上保安庁長官賞受賞作品

海上保安庁では、(財)海上保安協会と協力して、海洋環境保全思想の普及・啓発のため、全国の小中学生を対象とした「未来に残そう青い海・図画コンクール」を開催しています。平成12年度から毎年実施しており、第9回となる平成20年度は35,154点の応募がありました。

中学校の部 中島涼太さんの作品
▲中学校の部 中島涼太さんの作品
小学校低学年の部 井口漱一朗さんの作品
▲小学校低学年の部 井口漱一朗さんの作品
小学校高学年の部 中村龍ノ介さんの作品
▲小学校高学年の部 中村龍ノ介さんの作品
今後の取組み
(1)海洋環境保全のための指導・啓発活動の推進

海洋汚染の多くは人為的要因により発生しています。海洋汚染を防止するためには国民一人一人の海洋環境の保全に関する意識の高揚が必要不可欠です。

このため、海上保安庁では、海事・漁業関係者に対して廃棄物の適正処理、油等の排出防止のための技術的な指導及び関係法令の遵守指導等を行うとともに、海上保安協力員等のボランティアと連携した啓発活動を推進していきます。


(2)海洋環境の調査
タンカーを対象とした訪船指導
▲タンカーを対象とした訪船指導

海洋環境の現状を正確に把握するため、定期的に測量船等により海水及び海底堆積物を採取し、それに含まれる汚染物質の分析をしています。

特に、東京湾等における油分、PCB、重金属等の調査や、日本周辺海域及び米国原子力艦の寄港地である、横須賀港(神奈川県)、佐世保港(長崎県)、金きん武中なか城ぐすく港(沖縄県)において放射性物質の調査を実施していきます。

(3)全国海の再生プロジェクト

東京湾のように背後に大都市を抱えた閉鎖性の高い海域は、生活排水等が大量に流れ込むうえ、外海との海水の交換が起こりにくい海域です。このため、富栄養化による慢性的な赤潮の発生、有機汚濁による水産動植物の死滅等多くの問題が発生しています。

このような課題を解決するため、関係省庁、自治体等が連携した「全国海の再生プロジェクト」が、現在全国において実施されています。海上保安庁は、環境モニタリング等の各種活動を、関係機関と連携し推進していきます。


●全国海の再生プロジェクト
全国海の再生プロジェクト