仕事と私生活の両立
育児休業
千葉海上保安部 巡視艇あわかぜ 機関士補
私は、巡視艇の機関科職員として、船のエンジンの保守整備や、警備救難業務を行っています。第二子の妊娠が判明したのが2021年の12月頃で、私は同部署の別の船の乗組員でした。
妊娠判明時、妻は看護師として勤務していたため、仕事はどうするのかと議論になり、妻から「職場復帰したい」という声が上がったことから『私が育児休業を取得する』という案が浮かびました。
しかし、私が乗船しているCL型巡視艇の乗組員は、航海科3人、機関科2人の計5人しかおらず、私が育休を取得することで、機関科の職員が機関長だけになってしまい、機関長が全く休めなくなってしまいますし、他の乗組員も休暇を取得しづらくなってしまうという懸念がありました。
また、男性が育休を取得することや取得後の職場復帰に不安があり、育休の取得はかなり後ろ向きでした。
そんな中、現在の船への異動が決まり、異動先の船長・機関長に相談したところ「船のことは気にしなくて大丈夫」と育休取得を快く認めてくださったので、1か月間育休を取得することを決めました。
育休期間中は、上の子を保育園に送り、息子が泣いたらミルクをあげ、寝ている時間で洗濯や掃除に夕食作り、夕方になったら保育園のお迎えをしてご飯の準備…と、自分の時間はほとんどありませんでしたが、息子の日々の成長を一番近くで見届けられることが何より嬉しく、大変でしたがとても幸せな時間でした。
職場復帰後も暖かい言葉をかけていただき、私の心配は杞憂でした。
今回育休を取得して、職場の方々の理解やサポートなくしては取得できないと改めて痛感しました。
育休の取得を快諾し様々な面でご助力いただいた船長・機関長をはじめ、私の業務を肩代わりしてくれた同僚には、感謝してもしきれません。
今後、周りの職員が育休の取得を考えていた際には、取得を推進し、最大限サポートしていき、取得しやすい環境を作っていける職員になりたいと思います。
妻のコメント
私が産後2か月で仕事復帰をするため、夫に育児休業を取得してもらいました。
体調や赤ちゃんのことなど不安はありましたが、主人は以前から家事や育児を積極的に行ってくれていたため、1か月間私は何も心配なく仕事に専念できました。上の子も、パパが毎日おうちにいて、とても嬉しそうでした。
職場の方々にもご協力いただき、育児休業を取得させていただいたことにとても感謝しております。
産後の大変な時期に父親が家にいてくれることは身体的・精神的にすごく助かりました。今後、男性の育児休業取得が当たり前になればいいなと改めて思った1か月でした。
上司の声
千葉海上保安部 巡視艇あわかぜ 機関長
私が白石官から「1か月間育児休業を取得したい」と申し出があったのは、休業取得から半年前のことでした。
表向きでは、「取得して大丈夫だよ」と答えたものの、私たちの巡視艇には職員が5名しかおらず、その中でも船の機関を管理する機関科職員は私と白石官しかおりませんので、内心、「長期間1名が欠けると他の職員の予定にも影響あるかな」や「私が新型コロナウイルスに感染して出勤
出来なくなった場合はどうしよう」と心配していました。
ですが、千葉海上保安部全体が非常に協力的で、サポート体制も万全に備えてくれたので私の心配は直ぐに解消されました。
白石官が不在の間、他の乗組員に予定が入った際や私が急病となった際の対策として、他の巡視艇と出勤日を調整したり、陸上勤務する機関科の職員が代理で乗船する体制を組んでくれたりと、千葉海上保安部全体の対応に大変感謝しております。
育児休業の取得は、このような職場全体での業務面のサポートは勿論ですが、休業に入る職員は長期間職場を離れて他の職員に迷惑をかけるのではないか?という罪悪感や、職場復帰する時の不安感があると思いますので、精神面でのサポートも重要だと思いました。ですので、私は白石官が気負うことなく休めるよう、休業の数カ月前からは仕事の話をする際にも少し冗談を交えたり、昼休みには積極的に趣味の話をしたりして、安心して育児休業に入れ、不安なく復帰出来ると感じてくれるようなコミュニケーションを心がけました。
育児休業を終え、白石官が久しぶりに出勤したとき、充実した表情が見れて、更に仕事も生き生きと取り組んでいたので、やはり良い仕事は家庭との両立があってこそだと感じました。
この育児休業という制度は今後より普及するものだと思いますので、ライフワークバランスに関わる育児休業等の取得を考える職員がいれば、気持ちよく取得できるよう推進していきたいと思います。