海上保安レポート 2019

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 増大する危機に立ち向かう


目指せ! 海上保安官


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 交通の安全を守る

7 海をつなぐ


語句説明・索引


図表索引


資料編

目指せ! 海上保安官 > Column Vol.05 巡視船の運航を陰で支える船舶工務官
目指せ! 海上保安官
Column Vol.05
巡視船の運航を陰で支える船舶工務官
本庁装備技術部船舶課、第七管区海上保安本部船舶技術部

海上保安庁の巡視船艇は、多種多様な海上保安業務を遂行するために、一般の船舶では想定しないような悪条件の中でも性能を発揮出来るように設計されている特殊な船舶です。

このような巡視船艇の設計、建造、維持管理等を担う技術者集団、それが船舶工務官です。

船舶工務官の仕事は多岐に渡りますが、花形となるのは、やはり新造船の計画と建造監督です。

船の建造から就役までには、多くの仕事があります。

海上保安業務に耐えうる高性能な船を造るためには、非常に高い精度が要求される性能確認のための各種試験を行いますが、そうした作業は深夜に及ぶこともあります。

こうした苦労もありますが、自ら計画・監督した船が形となって現れたときには、それまでの苦労が報われ、何とも言えない大きな感動を味わうことができるため、船舶工務官のやりがいの一つとなっています。

現在、「海上保安体制強化に関する方針」に基づき、大型巡視船等の建造が急ピッチで進んでいます。

特に、第七管区海上保安本部船舶技術部では、管内で大型の巡視船数隻の建造が同時に進んでいるため、常時、船舶工務官が造船所に出向いて建造監督を行っています。

船作りは、一度に全体を作製するのではなく、ブロックと呼ばれる固まりを作り、これを接合させて最終的な形となりますが、大型の巡視船となるとブロックの数だけで膨大な量となります。

船舶工務官は、この一つ一つのブロックについて、寸法、形状、溶接等に問題がないか細部までチェックしています。

一方で、現場で業務を遂行している巡視船艇の維持管理も疎かにしてはいけないため、非常に根気と体力がいる仕事ですが、船舶工務官は、より良い船が現場で活躍できるよう日々奮闘しています。

海上保安庁の船舶技術分野の職員は、技術への飽くなき探究心のもと、海上保安業務を担う巡視船艇を陰から支えていきます。

ブロック検査中の船舶工務官
ブロック検査中の船舶工務官
故障対応を行う船舶工務官
故障対応を行う船舶工務官
軸心検査中の船舶工務官
軸心検査中の船舶工務官