海上保安レポート 2019

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 増大する危機に立ち向かう


目指せ! 海上保安官


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 交通の安全を守る

7 海をつなぐ


語句説明・索引


図表索引


資料編

目指せ! 海上保安官 > さまざまな職場で活躍する女性職員
目指せ! 海上保安官
さまざまな職場で活躍する女性職員

海上保安庁では、女性も男性も分け隔てなく、その能力や適性に応じた役職に就くことができます。最近では、海上保安部長や管区海上保安本部課長などの管理職、また、巡視船艇船長や航空機のパイロット(機長)など、現場の最前線においても女性職員の活躍の場は増えています。

■海で活躍する女性職員

門司巡視艇さとざくら 船長
黒木 奈津子

黒木 奈津子-1
黒木 奈津子-2

私は海上保安学校を卒業後、大型船での勤務、警備救難課係員等の陸上勤務を経て現在CL型巡視艇「さとざくら」の船長をしています。CL型巡視艇は当庁の乗組員配置がある船艇の中で最も小型のタイプですが、機動力が高く、事件事故が発生した際にはいち早く現場へ急行します。少人数ながらもチーム一丸となった事件捜査や人命救助を行うCL型巡視艇乗組員の姿に昔から憧れており、今ようやく夢を叶えることができました。

普段から訓練を重ね、乗組員同士が信頼しあったチームプレーがあってこそ、迅速かつ安全な業務遂行が可能です。女性船長はこれからもどんどん増えていくと思われますが、海に垣根がないように、私たち海上保安官にも性別の垣根は一切ありません!


横須賀巡視艇うらゆき 機関士補
道姓 真帆

道姓 真帆-1
道姓 真帆-2

「海保に入らない?」「遠慮しておきます。」中学生の頃に参加した職業体験でそう言っていた私でしたが、中学校の卒業式の日に東日本大震災が発生し、テレビの前で見守ることしかできない自分がもどかしく、高校で進路を決めるとき、「人のためになることがしたい」との思いから海上保安官になりました。

現在はPC型巡視艇の機関士補として、エンジンの発停や整備作業、多数の船舶が航行する浦賀水道航路のしょう戒業務、犯罪捜査や海難救助などの多岐にわたる業務に携わっています。

現場は楽しいことばかりではありませんが、業務を無事遂行できたときの達成感は大きく、一般の方から「頑張ってね」「ありがとう」と声をかけられると、より一層やりがいを感じます。


新潟巡視船えちご 主任通信士
岩上 頌子

岩上 頌子-1
岩上 頌子-2

私はPLH型巡視船えちごの主任通信士として、日本海での外国漁船の取締りや、海外での海賊対策に関する業務に携わっている他、船に搭載されている情報システムの運用、無線機器の整備、一般船舶や陸上通信所等との無線通信などを行っています。

もっと色々な業務に携わりたい、自分の可能性を高めたいという思いで特修科を受験し現職に至ります。より責任が重い仕事と向き合うには不安もありましたが、周りの先輩・同僚の応援が背中を押してくれました。海上保安庁は、まだ女性が少ない職場ですが、男女の別無く働ける環境へと変わってきています。多岐にわたる業務の中で、自分のやりたいこと、やれることに挑戦できる機会が増えています。その業務の中に楽しさや、やりがいを見つけて日々取り組んでいくのも、とても面白いことだと思います。


石垣巡視船たらま 航海士補
平良 優夏

平良 優夏-1
平良 優夏-2

私は、尖閣専従船に航海士補として乗船しています。

本船の主な任務は、尖閣周辺海域における外国公船や外国漁船などに対する監視警戒など、最前線の領海警備業務です。よって、少しのミスが国際問題に発展しかねないことから、日々、緊張感を持って業務に取り組んでいます。

また、大楯を使用した部隊運用やゴムボートの操船など、領海警備に必要な技能を向上させるための訓練も行っています。

このような仕事に関わり、やりがいを感じるとともに、将来は、国際捜査官を目指すという目標もできました。これからも、毎日の業務に積極的に取り組み、周りから頼られるような海上保安官になれるように頑張ります。


舞鶴巡視船だいせん 主計士
薄  さよ

薄  さよ-1
薄  さよ-2

早いもので私が再採用されてから9年が経ち今年で10年目に入ることとなります。長いブランクを経ての再採用でしたが、以前働いていた時と比較し様々な違いを感じています。

特に女性職員が増えた事、又、結婚・出産しても沢山の方が仕事を続けられている事を大変嬉しく思います。また、調理機器もIHやスチームコンベクション等が取り入れられ、主計科職員としてはかなり仕事がやりやすくなったのではないのでしょうか。とはいうものの私はまだその調理機器のある船に乗った事がないので、将来はそれらの調理機器を駆使して乗組員によりおいしい料理の提供をしていくことが今の最大の目標です。


※再採用制度:海上保安庁ではかつて海上保安官として勤務し、結婚、出産、育児等の理由で退職した元職員(性別不問)を対象として再採用を行っています。


■空で活躍する女性職員

福岡航空基地 飛行士
渡邊 莉子

渡邊 莉子-1
渡邊 莉子-2

私は現在、第七管区海上保安本部福岡航空基地にて飛行士として勤務しています。主な業務は、フライトの際に回転翼航空機の副操縦員として機長をサポートすることの他に、飛行後の各種資料の作成、航空局への申請書類の作成など多岐に渡ります。夜中における急患搬送や吊上げ救助の対応もあり、体力的に大変なところもありますが、その分、達成感ややりがいを味わえます。パイロットとしてだけではなく、海上保安官として学ぶべきこともたくさんあるため、日々の積み重ねを大切にし、仕事に取り組んでいます。


仙台基地 整備員
三浦 摩祐美

三浦 摩祐美-1
三浦 摩祐美-2

私は仙台航空基地で整備員として勤務しています。仙台航空基地は平成30年の4月に新しい機体を4機導入し、海上保安庁の全航空基地の中で最も機体数が多く、日々機体の維持管理に追われています。新しい機体は不具合(初期トラブル)があり大変ですが、一つ一つ解決する度に達成感があり、自分の知識も増え面白さも感じます。

航空機の整備作業の他、機体へ搭乗し、上空からの写真撮影やホイストマンの補助として吊上げ救助作業も行っています。尊敬する先輩方のように海難救助の最前線で活躍できるよう日々の業務に取り組んでいます。

*ホイストマン:ヘリコプターによる救助の際、パイロットを誘導し、ワイヤで結んだ遭難者等を巻き上げる装置を操作する担当者


鹿児島基地 通信士
野村 瞳

野村  瞳-1

私は、航空基地の機上通信士として飛行機やヘリコプターに搭乗し、上空からの海上監視や海難救助を行う際の通信業務の他、地上では通信機器の点検、整備作業等を行っています。私が海上保安官を目指したきっかけは、高校生のときに水泳部の仲間が海で亡くなり、行き場のない気持ちから、将来は海上保安官になって平和な海を守る一員になろうと思ったからです。海上保安学校を卒業してからは、PL型巡視船で通信士補として勤務し、現在は現場第一線の航空基地で海難救助や警備事案に携わり、多くのやりがいと責任を感じております。海上保安庁では女性保安官が様々な業務に携わり活躍し、そして挑戦できる場が沢山あります。美しい日本の海を、私達と一緒に守りましょう!


■陸で活躍する女性職員

海上保安学校 門司分校 教官
古川 佐紀子

古川 佐紀子-1
古川 佐紀子-2

私は北九州市にある海上保安学校門司分校で教官をしています。現在、門司分校には第80期の20歳〜55歳まで年齢も経歴も様々な研修生が入校しています。個々の研修生に対し、半年間の間にどのレベルで、どこまで現場の皆さんの期待に沿える要素を身につけさせることができるか常に自問自答しつつ、他の教官方とも話し合って指導にあたっています。私は教育の専門家でもないことから、どうやったら研修生が理解できる講義ができるのかと悩みますが、子供の小学校で定期的に実施される教育研究会等を参考にするなど、子育てしながら教育機関で働くメリットも感じています。自分が理解できていても教えるとなると大変難しいですし、1コマ授業するためにかなりの予習時間が必要ですが、ここを乗り切って研修生に理解してもらえると嬉しさも感じることができます。

門司分校は学校全体で協力し合うというよい風潮があり、とても働きやすい職場環境にあります。また研修生たちの元気な挨拶や笑顔に救われることも少なくはありません。これからも研修生たちが海上保安官を目指した初心を貫徹し、「正義仁愛」の精神を身につけられるよう支えていきたいと思います。


一本部警備救難部 刑事課 鑑識官
石川 知保

石川 知保-1
石川 知保-2

私は、管区本部刑事課にて鑑識官として勤務しています。鑑識官の仕事は、犯罪鑑識に関する業務全般であり、管区内で発生する事件の鑑識活動支援、司法解剖の支援などを行ったり、若手職員育成のため鑑識技能の向上を目的とした研修を企画・実行したりしています。

任期中、適正な捜査・検視・解剖等により、犯罪死の見逃しを行わないというのが、私の職責です。

やりがいを感じていることは、若手職員の育成であり、自分が若い頃、諸先輩方に根気強く指導していただいたことを思い出しながら、感謝しつつ、同じように次世代の育成に力を注ぎたいと思っています。


備讃瀬戸海上交通センター 運用管制課 運用管制官付
渕田 ゆう子

渕田 ゆう子

私は、備讃瀬戸海上交通センターで運用管制官付として勤務しています。私の主な仕事は、備讃瀬戸海域において、船舶が安全に航行することができるように情報を提供することです。未然に海難事故を防ぐために、常に、緊張感を持ってレーダー監視を行い、いち早く危険因子を見つけ、冷静に業務をしなければなりません。適切なタイミングで、簡潔に情報提供することは難しく、なかなかスムーズに処理できないこともありますが、先輩や上司の方々の支えもあり、日々の業務に励んでいます。

運用管制官という仕事は、女性が大いに活躍できる業務です。皆さんも一人前の海上保安官を目指して、一緒に頑張っていきませんか。

海上保安庁のイメージキャラクター