特殊な海難に対応するためのスペシャリストで、映画「BRAVE HEARTS海猿」のモデルにもなっています。転覆した船舶や火災を起こした危険物積載船等における人命救助や火災消火、ヘリコプターからの降下、吊り上げ救助等高度な救助技術と専門的知識を有しています。
特殊救難隊は昭和50年に発足し、出動実績は、出動件数5,236件、救助人員2,747人となっています(平成30年12月31日現在)。また、自然災害への対応や国際緊急援助隊(JDR)としての海外派遣など幅広い場面で活躍しています。
航空機を使用した救助
救急救命措置
行方不明者の救助
昭和50年 第三管区海上保安保本部警備救難部救難課に「特殊救難隊」が発足(5名)
昭和57年 羽田沖日本航空旅客機墜落事故に出動
昭和61年 「羽田特殊救難基地」設立(4隊20名体制)
平成 7年 兵庫県南部地震に出動
平成 9年 日本海でのナホトカ号海難に出動
平成16年 富山港沖練習帆船座礁海難に出動
平成23年 東日本大震災に出動
平成27年 特殊救難隊発足40周年(現在6隊36名体制)
平成29年 出動累積5,000件
※国際緊急援助隊として、海外派遣実績13件
特殊救難隊
第四隊隊長
櫻井 秀行
私は一般の大学を卒業後、海上保安学校に入校し、現在は特殊救難隊の隊長をしています。特殊救難隊は全国で発生する多種多様な海難を始め、大規模な自然災害や国際緊急援助隊として海外の災害にも対応しています。
危険を伴う現場も多々ありますが、無事に救助を完遂し、日頃の厳しい訓練の成果が報われた瞬間は、何事にも変えられません。転覆船内に取り残された方を救助した時にかけられた「助かった。ありがとう。」の言葉と力強く握られた手の感触は、今でも忘れられません。
「苦しい 疲れた もうやめたでは 人の命は救えない」この信念のもと、今後も精進していきます。
海上災害の防止に関するスペシャリストです。海上に排出された油、有害液体物質の防除や海上火災の消火及び延焼の防止に関する指導・助言や関係者の調整を実施するほか、必要に応じて自ら防除措置などを行います。
機動防除隊は平成7年に発足し、出動実績は、381件となっています(平成30年12月31日現在)。また、国際緊急援助隊(JDR)として海外派遣など様々な場面で活躍しています。
火災船被害状況調査
有害危険物質への対応
油抜取り作業指導
国際緊急援助隊
平成 7年 第三管区海上保安本部警備救難部救難課に「機動防除隊」が発足(2隊8名体制)
平成 9年 日本海でのナホトカ号海難や東京湾でのダイヤモンドグレース号海難に出動
平成10年 「横浜機動防除基地」設立(3隊12名体制)
平成23年 東日本大震災に出動
平成25年 釜山沖ケミカルタンカー衝突火災海難に出動
平成27年 機動防除隊発足20周年(現在4隊16名体制)
平成30年 東シナ海でのタンカー「SANCHI」号火災沈没海難に出動
※国際緊急援助隊として、海外派遣実績4件
横浜機動防除基地
主任防除措置官
川村 啓昌
海上において事故が発生した際、船舶に搭載されている油、化学物質が海上に流出すると、重大な環境被害を及ぼすだけでなく、引火・爆発の危険を伴うこともあります。機動防除隊は全国で発生する海上災害に対して、これら被害・危険を最小限に抑えるべく、現場での指導・助言、時には化学防護服等を着用して自らが防除措置にあたります。
平成30年1月に東シナ海で発生したタンカー「SANCHI」号火災沈没事案の際には、私を含む機動防除隊も第十管区に出動しました。燃料油等の流出に加え、積荷の「コンデンセート*」が流出したことから、社会的反響の大きい事故となり、これまでの経験と知識を最大限に活用しながらの対応となりました。
機動防除隊の魅力は、僅か16名の少数ではありますが、全国の海難現場で活躍できることに加え、海上災害に関する専門的な知識、経験という貴重な財産を得られるところにあると思います。
警備実施等強化巡視船は、違法・過激な集団による海上デモや危険・悪質な事案、テロ警戒等に対応するため、必要な知識、技能及び装備を備えた特別警備隊が配置されている巡視船です。G20大阪サミット及び関係閣僚会合や2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会においても、その海上警備の中核として活躍が期待されます。
警備実施
移乗訓練
制圧訓練
横浜海上保安部
巡視船ぶこう航海士補
私が乗船している巡視船ぶこうは、警備実施等強化巡視船(特警船)として一般の巡視船業務に加え、特別警備隊として知識・技術を身に付けることが求められています。その為、日頃から制圧訓練、けん銃等の射撃訓練、ゴムボートの操船訓練等に励んでいます。
2020年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されますが、同大会のテロ対策等には、警備実施が非常に重要であり、その中心が「ぶこう」だと思っています。
大会まであと1年、訓練等を通じて自身の能力にさらに磨きをかけ、万全な体制で大会を盛り上げていきます。
測量船は、海底地形の測量、海流や潮流の観測、海洋汚染の調査等を行う船です。海上保安庁には、本庁配備の大型測量船が5隻、管区に配備される小型測量船が7隻あります。測量船は、専ら海洋調査に従事するため、自律型潜水調査機器(AUV)やマルチビーム測深器をはじめとする特殊な海洋観測機器の運用を前提につくられており、その乗組員も高度な専門知識・技術を有する海洋観測のエキスパートです。
測量船「拓洋」
海洋調査
AUVごんどう投入の様子
採泥作業
測量船「明洋」
観測士補
相原 佑亮
私は海上保安学校卒業後測量船明洋に配属されました。
明洋では巨大地震の発生に関するデータ収集の海底地殻変動観測や、海底地形調査を始め、様々な業務を行っています。その他にも航海科等の作業をすることもあります。最初は船酔いで体調が優れず、つらく感じることが多々ありました。新しい業務を覚えて調査内容を理解しながら経験を積み重ねていくことで、調査を終えたときの達成感が増えてきました。インターネット等で自分が行った調査の結果が見えるとやりがいも感じます。
今はまだできないことの方が多く、上司や先輩方に頼ってしまうことも多々ありますが、一日も早く一人前の観測士補となれるように日々精進しています。
海上交通センターは、船舶の安全運航に必要な情報の提供と航行管制を行うことにより、ふくそう海域における海上交通の安全を図っています。現在、海上交通センターは東京湾、伊勢湾、名古屋港、大阪湾、備讃瀬戸、来島海峡及び関門海峡の7箇所に設置されています。
東京湾海上交通センター
運用管制官
伊藤 伸介
航行管制の様子 |
私は運用管制官として、東京湾を航行する船舶の海難未然防止のため、情報提供や航行管制を行っています。東京湾は巨大タンカーや貨物船、客船など様々な種類の船舶が行き交う海域です。この海域の船舶交通の安全を守る事が、私たち運用管制官の使命です。
昼夜の当直業務に加え、大規模災害を想定した訓練など緊張感あふれる多忙な毎日ですが、非常にやりがいのある仕事です。
東京都立川市の海上保安試験研究センターで働く職員は、海上保安業務に使用する資機材や海上犯罪の科学捜査に関する試験・研究、海洋汚染の原因となる物質の分析等を行なっています。
海上保安試験研究センター
試験研究官付
渡辺 里実
塗膜の表面検査 |
科学捜査研究課では、現場から収集された資料(主に塗膜片等の微細物や違法薬物等)の鑑定を行っています。
私たちの行う鑑定は、裁判において犯罪の事実を証明する証拠のひとつとして使われるため、捜査の手助けになるものでもあり、また、人の人生を左右する可能性のあるものです。
そのため、誤鑑定は許されず、専門知識・技術の必要な職場ですので、知識不足の私には出来ないこともたくさんあります。
上司・先輩方の指導の元、いつか、どんな資料でも自信を持って対応できる日がくるよう、これからも日々精進していきたいと思います。
犯罪捜査の支援のため、事件現場等に出動し、航海計器、携帯電話等に残された電磁的記録の解析を行っています。
第六管区海上保安本部 総務部情報通信課
情報システム管理センター
解析作業の様子 |
私は、犯罪情報技術解析官として、海上犯罪捜査において押収した電子機器に保存された電子データを解析する業務を担当しています。
パソコンや携帯電話等があらゆる分野で利用されているほか、航海計器等にも航海に関する情報が電磁的記録として保存されています。
事件事故の全容解明や衝突事故等の原因究明等のため、捜査官の要請により事件現場等に出動し、これらの電子機器に記録された電磁的記録の解析を行っています。
解析作業は高度な技術が必要であり、また電子データは不用意な操作により簡単に消えてしまうため機器の取扱いに注意し作業を行っています。
削除されたデータを復元させて証拠化したり、重要な証拠を発見したとき、やりがいを感じています。
海上保安庁音楽隊は、音楽を通じて、国民との融和を図り、当庁の広報活動の効果を高めるとともに、当庁職員の士気の高揚を図ることを目的として、昭和63年に海上保安庁開庁40周年を契機として結成しました。音楽隊は、当庁の式典、音楽隊定期演奏会のほか、国家的行事での奏楽、海に関するイベントなど多方面で演奏活動を行っています。
隊員は霞が関の本庁等において、他の職員と同様に公務を行いながら、練習や演奏活動を行っています。ご興味や機会がございましたら、ぜひ演奏会に足をお運びください。皆様のご来場をお待ちしております。
定期演奏会
観閲式及び総合訓練における演奏