海上保安レポート 2017

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 平和な海の継承〜海上保安庁の使命〜


海上保安官の仕事


海上保安庁の 任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 交通の安全を守る

7 海をつなぐ


語句説明・索引


図表索引


資料編

海上保安官の仕事 > 目指せ! 海上保安官
海上保安官の仕事
目指せ! 海上保安官
海上保安官になるには

海上保安官になるには、人事院と海上保安庁が行う、海上保安大学校または海上保安学校の学生採用試験に合格し、採用され、各校を卒業する道のほか、海技資格等の有資格者は、有資格者採用試験に合格し、採用される道等があります。また、これら以外の国家公務員採用試験の区分から採用される例もあります。

待遇
  • 海上保安大学校、海上保安学校、海上保安学校門司分校は、入学金、授業料等は一切不要です。学生生活に必要な制服や寝具等は貸与されます。なお、教科書、食費、身の回り品等は自己負担です。
  • 入学と同時に国家公務員としての身分を与えられるため、海上保安大学校、海上保安学校では、毎月約15万円(平成29年度)の給与や期末手当、勤勉手当(いわゆるボーナス)が、海上保安学校門司分校では、入校までの職務経歴に応じた給与等が支給されます。
  • 国土交通省共済組合員としての社会保障を受けることができます。

受験資格(平成29年度)
受験資格(平成28年度)

試験日程(平成29年度)
試験日程(平成29年度)
海上保安庁採用試験のホームページはこちら!
携帯電話用ホームページはこちら
携帯電話用ホームページはこちら

試験日程・受験資格等をご確認いただけます。


職員採用情報

URL : http://www.kaiho.mlit.go.jp/ope/saiyou/top.html

海上保安大学校・学校 学生採用試験

URL : http://www.kaiho.mlit.go.jp/ope/saiyou/bosyu.html

海上保安大学校
校内には医務室、売店、理髪所もあります。
校内には医務室、売店、理髪所もあります。

海上保安大学校は、広島県呉市にあり、将来、海上保安庁の幹部となる職員として必要となる高度な学術・技能を教授し、併せて心身の練成を図ることを目的として設置された海上保安庁の教育機関です。

教育期間は本科4年、専攻科6ヵ月及び国際業務課程3ヵ月の計4年9ヵ月間です。

カリキュラムは学校教育法に基づく大学設置基準に準じており、卒業時には日本で唯一の「学士(海上保安)」の学位が授与されます。

寮生活を行い、団体生活を通して生涯の友を得、相互錬磨とリーダーシップを体得していきます。

卒業後は、初級幹部職員として、日本全国の巡視船等に配属されます。その後、本庁や管区海上保安本部、巡視船等に勤務しつつ、幹部職員として経験を積んでいくことになります。


◆カリキュラム(平成28年度)
カリキュラム

◆学生生活

海上保安大学校は全寮制で、各学年1人ずつの4人が1部屋に入り、規律ある団体生活を送ります。学生は、この団体生活を通じて、正義仁愛の精神、リーダーシップ・チームワークの体得や気力・体力の練成を図ります。


◆年間行事
年間行事
4月 入学式
4月 入学式
6月 学生祭(海神祭(わたつみさい))
6月 学生祭(海神祭(わたつみさい))
8月 帆走巡航
8月 帆走巡航
3月 卒業式
3月 卒業式

◆一日の日程
一日の日程
08:45 授業
08:45 授業
12:00 昼食
12:00 昼食
授業後終了後クラブ活動(1)
授業後終了後クラブ活動(1)
授業後終了後クラブ活動(2)
授業後終了後クラブ活動(2)

海上保安大学校では、学生生活をホームページで公開しています! https://www.jcga.ac.jp/

学生の声

本科1学年 齋藤 瑶子


本科1学年 齋藤 瑶子

私は、受験の際、自分を変えたいという思いを抱きこの大学校を志望しました。着校してすぐ行われるオリエンテーション、様々な行事、訓練、そして日々の生活の中で初めての経験を積み重ね、少しずつではありますが、自分の成長を感じています。一人では乗り越えられないことがあるたび、教官や上級生の方が何度も助けをくださり、また何より、共に生活する同期に励まされ毎日を過ごしてきました。

この大学校は全寮制です。初めは、集団生活に対して不安も多くありましたが、いざ生活してみると、常に頼れる存在が身近にいるという安心感もあります。周囲の支えや期待に応えられるように、現状に留まることなく、同期とともに成長していきたいと思います。


本科2学年II群 松本 崇志


本科2学年II群 松本 崇志

私は「かっこいい大人」になりたいと思い、海上保安官を志しました。

入学当初、厳しい集団生活に不安を感じたこともありました。2学年になった今でも勉強や訓練に、心が折れそうになる瞬間があります。しかし、ここには、どんな時でも誰かが手を差し伸べてくれる、頼もしい環境があります。心から尊敬できる上級生、自分を頼ってくれる下級生、そして強い絆で結ばれた同期の存在があります。大学校生活で築いた濃密な人間関係は本当にかけがえのないものであり、一生の財産です。

他では味わえない経験がたくさんできると思います。私たちと共に切磋琢磨し、「かっこいい海上保安官」を目指してみませんか。


本科3学年II群 押 茉緒


本科3学年II群 押 茉緒

私は人の命を助けたいという思いがありこの大学校を選びました。入学直後は初めての寮生活や家族のいない生活に不安がありました。しかし、オリエンテーションや訓練、乗船実習等を通して同期との絆を深め、成長していくことで不安がなくなりました。

また海上保安大学校での生活や訓練、勉強は現場で活かすことの出来るものです。そのため大学校で学ぶことの全てが興味深く毎日が新鮮です。この大学校では、現場で必要な知識や技術の習得だけでなく、訓練や実習を通して人として成長できます。私も毎日同期や上級生、下級生と助け合いながら様々なことに全力で取り組んでいます。皆さんと一緒にこの大学校でたくさんのことに取り組めることを楽しみにしています。

海上保安学校

校内には医務室、売店もあります。
校内には医務室、売店もあります。

海上保安学校は、京都府舞鶴市にあり、海上保安庁の各分野における専門の職員を養成する教育機関です。

学生は採用試験時に、以下の5つの課程のうち、いずれかを選択します。教育期間は1年間(情報システム課程及び管制課程は2年間)で、全員を対象にした海上保安官として必要な知識等を学ぶ共通科目に加え、各課程・コースごとの専門科目等を学びます。

卒業後は、巡視船艇の乗組員等として、日本全国に配属されます。その後は、希望と適性に応じ、潜水士や国際取締官といった各分野のエキスパートとして進むことも可能です。また、業務経験と選抜試験により、海上保安大学校での研修を経て、幹部へ登用される道も開かれています。


◆カリキュラム
カリキュラム

◆学生生活

海上保安学校は全寮制で、同じ自習室・寝室で生活する「班」と、4〜5の班で「分隊」を編成しています。同じ部屋では先輩期学生と後輩期学生が、課程やコースに係わりなく一緒になって生活しており、これら学生生活を通じて、海上保安官に必要な正義仁愛の精神、規律、責任感、協調性、気力・体力の練成を図ります。


◆年間行事
年間行事
4月 入学式
4月 入学式
5月 行軍
5月 行軍
9月 卒業式
9月 卒業式
12月 早朝訓練
12月 早朝訓練

◆一日の日程
一日の日程
08:30 授業
08:30 授業
12:50 授業
12:50 授業
授業後終了後クラブ活動(1)
授業後終了後クラブ活動(1)
授業後終了後クラブ活動(2)
授業後終了後クラブ活動(2)

海上保安学校では、学生生活をホームページで公開しています! http://www.kaiho.mlit.go.jp/school/


学生の声

情報システム課程 24期 覚野 真帆


情報システム課程24期 覚野 真帆

小学生の頃、父の知人が水上オートバイの事故に遭い、海上保安庁の方が救助するところを目の前で見ました。その姿に感動し、いつか私も立派な海上保安官になりたいと思い、海上保安学校への入学を決めました。

初めは、経験したことのない厳しい環境の中での生活に戸惑うこともありますが、支え合い励ましてくれる同期や家族の応援のおかげで乗り越えながら頑張っています。

私の課程は、2年間という他の課程より1年長い学生生活を通して、通信機器の操作や船舶の航行安全のための知識、その他にも海上犯罪に関する法律など多岐にわたって学ぶことができます。

皆さんも海上保安官として一緒に日本の海を守りませんか?


船舶運航システム課程 機関コース50期 半田 康起


船舶運航システム課程 機関コース50期 半田 康起

私は、沖縄県石垣島の出身で、身近に海上保安庁の存在があったことや、幼い頃から海が好きで、日本の海を守りたいという思いから海上保安学校へ入学しました。

海上保安学校での生活は、今までの生活と違い毎日が分刻みです。勉強面では、犯罪取締りに関する法律の授業や、現場で必要な資格の取得や訓練を受けているほか、私は機関コースに所属しているので、船のエンジンやメンテナンスについて詳しく学んでいます。

また、体力面では水泳の訓練や補課時間のトレーニングで体力向上に励んでいます。

学校での生活は、初めて経験することや、訓練等が大変ですが、仲間と協力しながら達成した時の喜びはとても大きいです。

私たちと一緒に日本の美しい海を守る仲間になりませんか?


海洋科学課程 25期 森 雄基


海洋科学課程 25期 森 雄基

私は、幼い頃より海洋調査に関する仕事に就きたいと思っていましたが、民間企業では自分の希望に合う所がなかなか見つかりませんでした。

そんな時、海上保安学校海洋科学課程で海洋調査の技術者を目指せることを知り、受験しました。

海上保安学校での生活は、今までの生活と異なり、規則正しい生活に初めは苦労しますが、生活を共にする仲間たちと励まし合い、支え合いながら過ごしています。

海洋科学課程では、水路測量や海図作成等の業務について学ぶことができます。

この学校で学んだことを活かして、海洋権益の確保という重要な仕事にも携わることができますので、興味のある方は是非、海洋科学課程を受験してみませんか?

海上保安学校門司分校
海上保安学校門司分校

海上保安庁では、船舶、航空機や無線通信の有資格者を対象に海上保安学校門司分校での採用を行っています。

門司分校では、採用された者に対して、約6ヶ月間、海上保安官として必要な知識、技能及び体力を練成するための初任者研修を行っています。また、現場の職員に対して資質と能力の向上を図るための業務研修も行っています。


◆カリキュラム
カリキュラム

学生の声

船艇職員等初任者課程 76期 福田 裕二


船艇職員等初任者課程76期福田 裕二

私は、平成28年9月まで海上自衛官として35年間勤務していました。54歳の定年退職を前に、友人の勧めで海上保安学校門司分校に入校し、1ヶ月が過ぎました。

入校後のオリエンテーション、厳しい訓練等で、生活の劇的な変化に戸惑い、忙殺されるばかりである私でしたが、それでも順応して現在に至ることができるのは、叱咤激励してくださる教官、共に励まし合い支え合う同期の存在によるものであり、日々の生活だけでなく想像を絶する厳しい体力練成訓練であっても同じ辛さを分かち合える同期が常に隣にいるからこそ、耐え抜くことができます。

更にそれを共に乗り越えた経験は大きな喜びと達成感となり、確かな自信を与えてくれる76期の同期生と、今後も現場で同じ志をもって仕事ができる喜びをかみしめることができます。

研修期間もあと5ヶ月となり、やるべきことはたくさんあって、後ろを振り向く余裕などありませんが、辛く苦しくても歯を食い縛り、海上保安官としての基礎知識・技能・体力の習得のため、全力で立ち向かっていきます。

海上保安学校宮城分校
海上保安学校宮城分校

海上保安学校宮城分校は、海上保安庁の航空要員を養成するための教育機関です。海上保安学校航空課程卒業者にヘリコプターの操縦資格を取得させるほか、現場で活躍している航空機職員(飛行士、整備士、航空通信士)に、それぞれの業務に必要な資格、特殊技能(吊り上げ救助等)や航空機運航に関する安全対策知識を習得させています。


学生の声

回転翼基礎課程 49期 浮田 晃佑


回転翼基礎課程 49期 浮田 晃佑

私は高校生の頃から職業としてパイロットになりたいと思っており、大学卒業後に、海上保安学校航空課程へ入学しました。京都府舞鶴市にある海上保安学校で1年間、海上保安業務等を学んだ後、現在、仙台空港にある海上保安学校宮城分校でヘリコプターパイロットのライセンス取得のために訓練を行っています。フライト前には十分に準備をして臨みますが、上空では自分の思うとおりのフライトができない事が多々あり、より一層の努力が必要だと日々感じています。フライトや勉強において自分一人で理解しきれない点は、同期で情報共有をしあい解決しながら進めています。宮城分校を卒業後、私達は全国の航空基地へ配属されます。将来、機長としてヘリコプターを運用し、海難救助や海上警備を行うために、クルーから信頼される機長を目指し、日々の訓練に臨んでいます。

国家公務員総合職採用(技術系)

海上保安庁海洋情報部・交通部では、国家公務員総合職技術系職員を採用しています。総合職技術系職員は、政策の企画立案、技術開発・研究等の経験を積み、将来的には幹部職員として海上保安行政に携わります。


◆海洋情報部
海洋情報部

採用当初は、海洋情報部内の技術系の部署に配属され、海洋調査や観測技術、海洋情報の収集・提供等に関する技術的な実務や研究を通じて海洋情報業務に携わります。その後は、海洋情報業務に係る政策の企画・立案に関わる機会も多くなり、将来的には海洋情報部の幹部として組織のマネジメントに携わります。海洋情報部内の部署だけでなく、内閣官房等の他省庁への出向や国際機関・大使館での在外勤務といった幅広い活躍の場があります。


◆交通部
交通部

採用当初は、主に交通部内の技術系の部門に配属され、海上交通安全に関する技術開発等に携わります。その後、交通部以外の部署において政策の企画立案等の経験を積み、地方の管区海上保安本部、海上保安部の交通部管理職を経て、将来的には主にインフラ整備、通信等の技術分野における幹部職員として海上保安行政に携わります。また、JICA長期専門家といった、安全分野における幅広い活躍の場もあります。

総合職のキャリアパス
総合職のキャリアパス

海上保安庁総合職採用ページはこちら>>> http://www1.kaiho.mlit.go.jp/saiyo/index.html

国家公務員試験についてはこちら>>> http://www.jinji.go.jp/saiyo/saiyo.htm

様々な研修

大学校・学校を卒業後、ほとんどの海上保安官は、巡視船艇に配属されます。その後は、経験を積みながら、自分の適性や希望に応じてさまざまな研修を受けることで、それぞれが目指す道に向けてキャリアアップを図っていきます。


◆海上保安大学校特修科

海上保安学校卒業者・門司分校修了生を対象とした将来の幹部候補生を養成する研修です。在職年数や資格等の基準を満たしている職員から、試験により選抜し、初級幹部として必要な素養を身につけます。


◆航空整備士研修

航空機の整備を行うエキスパートを養成する研修です。海上保安学校在学中に選抜試験に合格した者等が、航空機の機種ごとに必要な知識・技能を身につけます。


◆潜水研修

海難事故が発生した場合に、転覆船舶等に取り残された要救助者の救出や漂流者の救助等にあたる潜水士を養成する研修です。約2か月にわたる研修・訓練では、潜水業務に必要な知識・技術の習得を目指し、転覆船を想定した救助活動やヘリコプターとの連携を想定した実践的訓練等を行います。


◆語学研修

外国語(ロシア語、中国語、韓国語)を駆使して外国人犯罪の捜査を行うスペシャリストを養成する研修です。研修終了後は、国際捜査官として犯罪捜査等の業務に従事するほか、学んだ語学を活用して在外公館等で活躍する職員もいます。

海上保安官のライフプラン
◆海上保安官のキャリアパス

海上保安官は、船艇や陸上、警備救難業務や交通安全業務、ときには大使館での勤務等、多種多様な業務を繰り返しながら、経験を積んでいきます。また、潜水士や国際捜査官等のスペシャリストとしてのキャリアパスも個人の能力や適性等に応じ開かれています。以下に、海上保安大学校を卒業して幹部職員となった海上保安官(例1)と、海上保安学校を卒業後、特修科を経て幹部職員となった海上保安官(例2)、海上保安学校を卒業して救助のエキスパートとなった海上保安官(例3)を例としてキャリアパスを紹介します。


キャリアパスの例(1)
イラスト
キャリアパスの例(2)
イラスト
キャリアパスの例(3)
イラスト

◆海上保安官の給与モデル

海上保安官の給与(諸手当を含む)は、一般職の国家公務員の給与に関する法律等の法令の定めに従い支給されています。以下に海上保安官の月収の例を紹介します。


海上保安官の給与モデル
お問い合わせ先

これまで海上保安業務やそれに従事する海上保安官について紹介してきましたが、海上保安庁について興味を持っていただけたでしょうか。

もし、海上保安官になってみたいと少しでも思った方は、海上保安庁本庁の担当者又は、最寄りの管区海上保安本部(以下の地図をご参照ください。)までお問い合わせください。


お問い合わせ先

もっと詳しく海上保安庁を知りたい方は、以下のホームページにも、海上保安庁の業務や海上保安大学校・海上保安学校等のイベント等を紹介していますので、ぜひご覧ください。


海上保安庁ホームページ http://www.kaiho.mlit.go.jp/

海上保安大学校ホームページ http://www.jcga.ac.jp/

海上保安学校ホームページ http://www.kaiho.mlit.go.jp/school/

海上保安学校門司分校ホームページ http://www.kaiho.mlit.go.jp/school/moji/

国家公務員総合職採用ホームページ http://www1.kaiho.mlit.go.jp/saiyo/

海上保安レポート(WEB) http://www.kaiho.mlit.go.jp/doc/hakkou/report/top.html