海上保安レポート 2014

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 海上保安庁の精神 正義仁愛


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 交通の安全を守る

7 海をつなぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編

7 海をつなぐ > CHAPTER III 国際機関との協調
7 海をつなぐ
CHAPTER III 国際機関との協調

海に関して、関係各国が連携・協調しつつ、各国が有する知識・技能を世界共通のものとしていくため、様々な分野の国際機関が存在します。海上保安庁では、様々な業務を通じて得られた知識・技能を活かし、国際社会に貢献するため、これらの国際機関の取組みに積極的に参画しています。

平成25年の現況
■1 国際海事機関(IMO)での取組み

IMOは、船舶の安全や船舶からの海洋汚染の防止等の海事問題に関する国際協力を促進するために設立された国連の専門機関で、現在170の国・地域が正式加盟国、3地域が準加盟国となっています。

海上保安庁は、平成25年には、IMOの委員会である海上安全委員会(MSC)やMSCの下部組織である航行安全小委員会(NAV)に出席し、航行の安全等に関する議論に参加しました。中でも、平成25年9月に行われた第59回NAVでは、海上保安庁が提案した視界不良時にも航路標識の位置などを容易に把握できるようにするためのAIS信号所の基本方針や、船舶のレーダーや電子海図の画面に表示されるAISの新しい表示方法(シンボル)が合意され、これらは、平成26年5月に開催予定の第93回MSCで最終的な承認がされる見込みです。


◆AISのシンボル使用のイメージ図
◆AISのシンボル使用のイメージ図

■2 国際水路機関(IHO)での取組み

IHOは、海図などの水路図誌の最大限の統一、水路測量の手法や水路業務の技術開発等を促進するために設立された政府間の機関で、現在82か国が加盟しています。海上保安庁は、IHOの複数の委員会や作業部会に参加し、電子海図の新しい基準の策定などの議論に貢献しました。また、海上保安庁は東アジア諸国の水路当局が参加する、東アジア水路委員会(EAHC)の事務局を務めており、東アジアにおける水路分野での地域的連携や技術力向上に協力しています。

平成25年9月には、海底地形への命名に関する委員会である海底地形名小委員会が東京で開催され、日本提案の海底地形名20件が承認されました。


■3 国際航路標識協会(IALA)での取組み

IALAは、航路標識の改善、船舶交通の安全等を図ることを目的とした国際的な組織で、現在76の国・地域が加盟しています。IALAの理事には、海上保安庁職員が選任されており、その組織運営に貢献しています。

平成25年12月には、IMOが進める次世代の航行支援システム(e-Navigation)の実現に向けた海上保安庁の主導的な役割が評価され、IALAの常設技術委員会の一つである、e-Navigationについて、航路標識当局の立場からの検討、IMOへの提案等を行う「ENAV委員会」の副議長に野口英毅(のぐちひでき)国際協力調整官が就任しました。


■4 コスパス・サーサットでの取組み

コスパス・サーサットシステムは、人工衛星により中継された遭難信号から遭難船舶等の位置を迅速に検出するシステムです。このシステムは、コスパス・サーサットの国際協定を締結した日本を含む43の国・地域によって運営されています。

このシステムの運営方針等を決定するために、理事会が毎年開催されており、平成25年10月にカナダで開催された第51回理事会では、今後導入が予定されている中軌道衛星を使用したシステムやイパーブ(EPIRB)の小型化や位置精度向上などの将来展望について意見交換を行いました。


■5 アジア海賊対策地域協力協定・情報共有センター(ReCAAP-ISC)での取組み

アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)は、我が国の主導で締結されたアジアの海賊・海上武装強盗問題に有効に対処するための地域協力を促進するための協定です。

この協定に基づき、情報共有、協力体制構築のため、平成18年にシンガポールに情報共有センター(ISC)が設立されました。

海上保安庁は、このISCへ職員1名を派遣し、海賊情報の収集・分析を積極的に推進し、ReCAAPによる海賊対策の取り組みに貢献しています。