海上保安庁では、海上の安全確保、海洋権益の保全、海洋資源の開発・利用といった様々な目的のために海洋調査を実施しています。特に、近年では、我が国の管轄海域や新たな海洋資源の開発・利用等への関心が高まる中、海洋権益保全の基礎となる海洋調査の実施が重要となっています。
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5 海を知る
CHAPTER I 海洋調査
海上保安庁では、海上の安全確保、海洋権益の保全、海洋資源の開発・利用といった様々な目的のために海洋調査を実施しています。特に、近年では、我が国の管轄海域や新たな海洋資源の開発・利用等への関心が高まる中、海洋権益保全の基礎となる海洋調査の実施が重要となっています。 ■1 海洋権益の保全のために
海洋国家である我が国にとって、領海や排他的経済水域(EEZ)等の海洋権益を保全することは極めて重要であり、このため、海洋権益の基礎となる海洋情報を収集することが不可欠となっています。海上保安庁では、測量船に搭載されたマルチビーム測深機や最新の調査機器である自律型潜水調査機器(AUV)等により、重点的に東シナ海や日本海といった海域での海底地形や地殻構造等の調査を推進するとともに、航空機に搭載した航空レーザー測深機等により、領海やEEZの外縁の根拠となる低潮線等の調査を実施しています。 平成25年に本格的な運用が開始されたAUVによる海底地形調査では、鹿児島県奄美大島沖の海底火山で熱水・ガスの湧出を音響データとして捉えることができ、同海山に熱水活動が存在する可能性が高いことが分かるなど、海上保安庁の海洋調査が資源探査にも貢献しています。また、これまで海上保安庁が行ってきた海底地形調査の結果が実り、世界の海底地形名を公式に定める委員会で、我が国が提案した20件の海底地形名が承認されるなど、海上保安庁が実施する海洋調査の成果が着実に認められています。 ■2 海上の安全確保のために
船舶の安全な航行を確保するためには、最新の情報が掲載された海図が必要です。また、海難事故発生時に迅速・的確な救助活動を行うためには漂流予測の精度が重要となります。海上保安庁では、測量船や航空機等を活用して水深や海底地形等の情報収集を行い、海図を最新の情報に更新するとともに、測量船や海洋短波レーダー等により海潮流や水温などの観測を行い、漂流予測の精度向上を図るなど、様々な海洋調査により、海上の安全確保を支えています。 ■3 様々な目的のために
海洋調査は、海洋権益の保全や海上の安全確保といった目的のほか、海洋環境の保全や防災のためにも実施されています。 海上保安庁では、海洋環境の変化を的確に把握するため、海水や海底堆積物を採取し、汚染物質や放射性物質の調査を継続的に行っています。また、海底地殻変動観測や海底地形調査、海域火山の監視観測等を実施し、大規模地震発生のメカニズムや海域火山の構造等の解明に役立てています。 海洋権益の保全のため、今後も引き続き、領海やEEZ等における海底地形や地殻構造等の調査を実施するとともに、低潮線等の調査を実施していきます。 また、水深や海底地形、海潮流などの最新の観測結果を海図や漂流予測へ反映させることで、より一層海上の安全確保に努めます。 さらに、海洋汚染調査や海底地殻変動観測、海域火山の監視観測など、様々な目的に合わせた海洋調査を実施することで、海洋情報の収集を行います。 小笠原諸島の西之島付近で火山噴火による新島を確認
海上保安庁の最新の調査機器
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