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▲活動家船舶を規制する巡視船 |
平成8年7月に国連海洋法条約が我が国について発効し、EEZが設定されたことに伴い、尖閣諸島周辺海域における中国、台湾漁船の漁業活動に影響が生じたことに対する不満や、同諸島の北小島に日本の政治団体が灯台を設置したことを契機に、中国や台湾において「保釣活動」と呼ばれる領有権主張活動が活発になりました。同時期以降、領有権を主張する活動家が乗船した船舶が尖閣諸島周辺の領海に接近し、又は侵入する事案が続発しています。
平成8年には、香港、台湾の活動家が乗船した船舶49隻が尖閣諸島に接近、うち41隻が領海に侵入し、4名が魚釣島西端岩礁に上陸する事案や、平成16年には、中国活動家等が乗船した船舶1隻が尖閣諸島周辺の領海に侵入し、活動家7名が手漕ぎボートにより魚釣島西端に上陸する事案も発生するなど、中国、台湾等による領有権主張活動は、ほぼ毎年発生しています。
海上保安庁では、活動家が乗船した船舶に対しては、国際法及び我が国法令に基づき、警告や進路規制、放水規制等必要な措置を行い、事態に応じて我が国法令に基づき検挙するなど、適切に対処しています。
尖閣諸島における香港活動家等による領有権主張活動への対応(H24.8.15)
活動家船舶の確認
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▲啓豊二號 |
平成24年8月15日午前11時15分、魚釣島の西48.5海里(約90km)の我が国接続水域外において、巡視船が魚釣島に向けて航行中の香港活動家等が乗船した「啓豊二號(けいほうにごう)」を確認しました。
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接続水域入域
午後2時21分、同船が我が国接続水域に入域したことから、巡視船から同船に対し、我が国領海に入らないよう警告や進路規制を実施しました。
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領海侵入
午後3時51分、同船は、巡視船からの警告等を無視し、魚釣島の西12海里(約22km)において領海に侵入しました。
同船の領海侵入後は、速やかに領海外へ退去させるため、巡視船により退去警告や放水規制を繰り返し実施しましたが、同船が更に魚釣島への接近を続けたことから、巡視船による接舷規制を実施しました。
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魚釣島への上陸
同船は巡視船からの接舷規制等にもかかわらず、魚釣島の海岸に接近し、午後5時35分頃、香港活動家7名が魚釣島西端岩礁へ上陸を強行しました。
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入管法違反による現行犯逮捕
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▲啓豊二號を停船させる巡視船 |
上陸者のうち、2名は同船に帰船しましたが、これら2名を除く5名は、警察官が午後5時54分に「出入国管理及び難民認定法(入管法)」違反により、現行犯逮捕しました。
一方、上陸した2名を乗船させた同船は、沖合いに向けて逃亡を図ったことから、巡視船により追跡を行い、午後6時50分、魚釣島の西北西7海里(約13km)において、巡視船2隻が同船を挟み込んで停船させ、午後8時1分、上陸した2名を含む同船の乗船者9名全員を入管法違反により現行犯逮捕しました。
逮捕した14名については、取調べ等を実施した結果、入管法以外の罪がないことが確認されたことから、同法に基づき、同月16日、17日にそれぞれ入国警備官に引渡しました。
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台湾漁船団等による尖閣諸島周辺海域航行への対応(H24.9.25)
台湾漁船団等の確認と接続水域入域
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▲台湾漁船団を規制する巡視船艇 |
平成24年9月24日午後10時頃から、尖閣諸島の魚釣島の南西海域において、巡視船・航空機が台湾海岸巡防署所属船12隻を確認し、翌25日午前6時頃には、巡視船が魚釣島南西約17海里(約31km)から約24海里(約44km)付近海域において、約50隻の台湾漁船団が停留等をしていることを確認しました。午前6時50分頃から、約50隻の台湾漁船団は台湾海岸巡防署所属船3隻に先導されるように、我が国領海に向けて航行を開始しました。そのため、巡視船艇により、台湾漁船と台湾海岸巡防署所属船に対し、我が国領海に入らないよう警告を行うとともに、台湾漁船に対し、進路規制を実施しました。
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領海侵入
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▲台湾漁船団を規制する巡視船艇 |
午前8時40分までに台湾海岸巡防署所属船12隻全船が、午前9時55分頃までに台湾漁船団約50隻全船が我が国領海内に侵入したことから、巡視船艇から台湾漁船に対して、退去警告や進路規制、放水規制を実施したほか、台湾海岸巡防署所属船に対して、退去要求を実施しました。
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領海退去
巡視船艇による退去警告等により、午前11時21分頃までに台湾漁船団約50隻全船が、午前11時43分頃までに台湾海岸巡防署所属船12隻全船が、我が国領海から退去しました。
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尖閣諸島における台湾活動家による領有権主張活動への対応(H25.1.24)
活動家船舶等の確認
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▲全家福号 |
平成25年1月24日午前7時12分、しょう戒中の巡視船が魚釣島の西南西海域において、尖閣諸島に向けて航行中の台湾活動家が乗船した「全家福号(ぜんかふくごう)」を確認し、その後、同船に随伴する台湾海岸巡防署所属船4隻を確認しました。
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接続水域入域と巡視船艇による規制
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▲全家福号に放水規制を行う巡視船 |
午前11時5分頃、「全家福号」及び台湾海岸巡防署所属船4隻が我が国接続水域に入域し、なおも魚釣島に向けて航行を続けたことから、巡視船艇から警告や進路規制、放水規制を実施しました。これにより、同船は停船・漂泊し、その後、魚釣島から離れる方向に航行を開始し、午後1時30分頃、我が国接続水域から出域しました。また、台湾海岸巡防署所属船4隻も「全家福号」と同様に我が国接続水域から出域しました。
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