海上保安レポート 2010

はじめに


TOPICS 海上保安の一年

特集


海上保安庁の任務・体制


治安の確保

領海等を守る

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

CHAPTER1 海洋調査
CHAPTER2 海洋情報の提供

交通の安全を守る

海を繋ぐ


目指せ!海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編


06 海を識る > CHAPTER2 海洋情報の提供
06 海を識る
CHAPTER2 海洋情報の提供

水路測量、海象観測等で得られた情報を海図等の水路図誌として調製・刊行するとともに、水路通報や航行警報等として最新の情報を提供することにより、海難の未然防止や効率的な航海の促進を図ります。

また、様々な機関が保有している海洋情報を一元的に管理・提供することにより、利用者のニーズに応じた適切な情報提供を行い、政府が目指す海洋の総合的管理や科学的知見の充実に貢献していきます。

平成21年の現況
1 海図等の刊行

平成21年には、水路測量や海象観測等の海洋調査により得られた最新のデータを基に、海図(新刊8図、改版67図)や水路誌(新刊2冊、改版9冊)等を刊行しました。

また、電子海図表示システム(ECDIS)で利用できる航海用電子海図(ENC)については、新刊として18セルを刊行するとともに、その最新維持のため電子水路通報を発行しました。

このほか、外国人船員に対する海難防止対策及び利便性向上のため、英国海洋情報部を通じて、日本近海の英語表記の海図を海外において販売するとともに、外国船舶の入港実績の多い日本の港においても、これら英語表記の海図を販売し、普及に努めました。

2 様々な海洋情報の提供

港湾工事等により水深や港湾施設等に著しい変化があった場合には、水路通報により補正図を発行し海図を補正しました。また、海難事故の発生等緊急に周知する必要がある情報については航行警報を発出し、迅速かつ確実な情報提供を行いました。

このほか、日本周辺海域の海流、水温の状況やオホーツク海付近の流氷の状況をインターネット等で提供するなど、様々な海洋情報の提供に努めました。


3 海洋情報の一元的な管理

海上保安庁が運用している日本海洋データセンター(JODC)において、国内の海洋調査機関による調査で得られた水温や海流等の貴重な海洋データ・情報を一元的に収集・管理するとともに、国内外との情報交換やインターネットによる情報提供を行いました。

また、平成22年3月には、JODCの取組みを最大限活用する形で、各関係機関が保有する様々な海洋情報の所在情報を一元的に収集・管理・提供する海洋情報クリアリングハウスの運用を開始しました。海洋情報クリアリングハウスにより、どの機関がどのような海洋情報を保有しているかを容易に把握できるようになりました。これにより、海洋情報の利活用がさらに活性化することが期待されます。

(海洋情報クリアリングハウスURL:http://www.mich.go.jp/

今後の取組み
1 海図等の刊行

海上保安庁では、引き続き、海洋調査により得られた最新のデータ等に基づき、海図等水路図誌を刊行していきます。

また、引き続き日本付近の英語表記の海図を国内外で販売し、外国人船員に対する海難防止対策及び利便性向上に寄与していきます。

このほか、平成24年7月から国際航海に従事する一定の船舶にECDISの搭載義務が順次適用されることを踏まえ、縮尺に応じて表示情報を選択するといった利便性の向上等ENCの国際標準化対応を進めます。

2 様々な海洋情報の提供

海図の最新維持や船舶航行の安全に必要な情報を水路通報等により提供するとともに、緊急に周知する必要がある情報については航行警報を発出し、迅速かつ確実な情報提供を行います。

また、海上保安庁に設置している海の相談室やインターネット等を通じ、広く一般の方々に対して、水温、潮汐等の海洋の基礎的データやマリンレジャーに必要な情報等、様々な海洋情報を提供していきます。


3 海洋情報の一元的な管理

引き続き、海洋情報クリアリングハウスについては、より幅広い機関からの所在情報の収集に努めるなど、さらなる充実を図ります。

また、JODCにおける海洋データの収集・管理・提供を適切に行い、国内外における海洋データの利用を促進していきます。さらに、海底地形調査等の様々な海洋調査により海上保安庁が収集した膨大な海洋の基盤的な情報について、情報管理を適切に実施するとともに、利用者のニーズに応じた情報提供に努めます。