海洋汚染を防止するためには、国民の皆さんの海洋環境の保全に関する意識を高揚させることが必要不可欠です。海上保安庁では、海洋環境の保全のため、指導・啓発活動に取り組んでいくとともに、海洋汚染発生状況の把握、汚染源の特定等による新たな汚染の防止を図っていきます。
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04 青い海を護る
CHAPTER1 海洋環境保全対策
海洋汚染を防止するためには、国民の皆さんの海洋環境の保全に関する意識を高揚させることが必要不可欠です。海上保安庁では、海洋環境の保全のため、指導・啓発活動に取り組んでいくとともに、海洋汚染発生状況の把握、汚染源の特定等による新たな汚染の防止を図っていきます。 1 海洋汚染の状況
海上保安庁では、巡視船艇・航空機による監視や緊急通報用電話番号「118番」通報、測量船による海洋汚染調査等をもとに、油や廃棄物等による海洋汚染の発生状況等の海洋環境の把握に努めています。 平成21年は、油、廃棄物、有害液体物質、赤潮、青潮等による海洋汚染の発生を514件確認し、平成20年より41件減少しています。種類別に見ると、油によるものが369件、廃棄物によるものが104件であり、依然として海洋汚染は後を絶ちません。 なお、これらのデータは海上保安庁のホームページで公開しています。 2 海洋環境保全活動
油の不法排出や廃船等の不法投棄等による海洋環境の汚染が依然として後を絶たないことから、海上保安庁では、全国各地で指導・啓発活動を実施しています。特に、6月の1ヶ月間を「海洋環境保全推進月間」とし、「未来に残そう青い海」をスローガンに、海事・漁業関係者等を対象とした海洋環境保全講習会や訪船指導等を実施しました。 また、海上保安協力員等のボランティアや地方公共団体等と協力して、一般市民を対象に、街頭やイベント会場、フェリー等の公共交通機関等において、啓発活動を実施し、海洋環境保全思想の普及に努めました。 3 海洋環境調査活動
海上保安庁では、日本周辺海域における海洋汚染の状況を把握するため海洋汚染調査や放射能調査を実施しています。平成5年にロシアによる日本海への放射性廃棄物投棄の事実が判明したことから、平成6年から日本海において毎年放射能調査を実施しています。平成18年からは日本海南西部において韓国と共同で調査を実施しており、平成21年には日本側測量船「海洋」、韓国側測量船「HAE YANG 2000」により、共同で採水・採泥等の放射能調査を実施しました。
「海上保安協力員の活動推進」事業
(財)海上保安協会では、海洋環境保全思想の普及・啓発等を行うため、平成8年度より「海洋環境保全推進員」の活動を、また海上防犯を推進するため、平成3年7月より「海上防犯連絡員」等の活動を続けていました。平成21年4月1日、これらの事業を統合し、一層の効率化を図るため、「海上保安協力員」の活動推進事業が開始されました。 同事業では、海上保安業務への深い理解と積極的な協力がいただけるボランティアの方を海上保安協力員として、また、漁業協同組合などの海事関係事業所を海上保安官連絡所として、全国の海上保安協会支部や海上保安協会地方本部に配置し、海上保安部署の指導・協力の下、海浜等における防犯パトロール、マリーナ等の巡回のほか、海上保安部署や地方自治体が催す各種イベント等において子供を対象とした海洋環境保全教室や釣り人に対する海洋環境啓発活動等を実施しています。また、海上保安官連絡所には、ポスター掲示等の、海上防犯及び海洋環境保全思想の普及・啓発活動に加え、海上犯罪・海洋汚染発見時には海上保安部署への通報を行っていただいています。 平成21年12月現在、約1,050人の海上保安協力員と、約1,280箇所の海上保安官連絡所が全国に配置されています。
1 海洋環境保全のための指導・啓発活動の推進
海洋汚染の多くは人為的要因により発生しています。 海洋汚染を防止するためには国民の皆さんの海洋環境保全に関する意識の高揚が必要です。 このため海上保安庁では、海事・漁業関係者等に対する海洋環境保全講習会や訪船指導等を通し、海洋環境汚染防止等の法令遵守指導を行うとともに、海上保安協力員等のボランティアや地方公共団体等と連携し、広く一般国民に対し海洋環境保全の指導・啓発活動を推進していきます。 2 海洋環境の調査
海洋環境の現状を正確に把握するため、定期的に測量船等により海水及び海底堆積物を採取し、それに含まれる汚染物質の分析をしています。 特に、東京湾等における油分、PCB、重金属等の調査や日本周辺海域及び米国原子力艦の寄港地である、横須賀港(神奈川県)、佐世保港(長崎県)、金武中城港(沖縄県)において放射性物質の調査を実施していきます。 3 全国海の再生プロジェクト
東京湾のように背後に大都市を抱えた閉鎖性の高い海域は、生活排水等が大量に流れ込むうえ、外海との海水の交換が起こりにくいため、水質汚濁が慢性化しており、富栄養化による慢性的な赤潮の発生等の問題が数多く発生しています。 東京湾等の海域の水質環境把握及び汚濁メカニズム解明のため、国、自治体、大学・研究機関、民間企業等の幅広い機関が参加して「全国海の再生プロジェクト」が全国各地で実施されています。海上保安庁では、環境モニタリング等の各種活動を関係機関と連携し推進していきます。
「未来に残そう青い海・図画コンクール」 海上保安庁長官賞受賞作品
海上保安庁では、(財)海上保安協会と協力して、海洋環境保全思想の普及・啓発のため、全国の小中学生を対象とした「未来に残そう青い海・図画コンクール」を開催しています。平成12年度から毎年実施しており、10回目となる平成21年度は30,848点の応募がありました。 |