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海底の地形を調べる
目 標 海上保安庁では、水路測量、海象観測の実施により、船舶の航行安全、経済的運航を図ることに加え、海洋に関する科学的基礎資料を整備することを目指しています。 平成16年の状況
平成16年は、63カ所の港湾や沿岸域で測量を行ったほか、各地の港湾で自治体等により港湾工事等に伴い実施される測量成果を収集しました。
また、四国沖等で海底地形地質構造の測量等を深海用のマルチビーム音響測深機*1などの観測機器を用いて実施しました。
▲マルチビーム音響測深機画面
▲マルチビーム音響測深データから作成された鳥瞰図
今後の取組み [1]航海安全のための調査
海図を作成したり改訂したりするために欠かせないのが、水路測量です。水路測量を効率的に実施して海図を提供していくことは、海上交通の安全確保を通じて、日本経済の発展にも貢献しています。特に港湾や沿岸域の浅海域の海底地形を調べることは航海安全に直結する重要な仕事です。
かつて、水路測量は、竹棹、分銅付きのロープなどを使って水深を測っていたため、膨大な時間と労力を費やしていましたが、最近では、海底を面的に測量するマルチビーム音響測深機やレーザー光線を利用して航空機から水深を測定するレーザー測深機の登場により、機動的な海底調査が可能となりました。
海上保安庁では、これら新しい測量技術などを駆使して、海底地形に関する正確な情報を速やかに収集し、精度の高い海図を提供しています。
[2]外洋域における海洋調査
日本列島周辺に分布する日本海溝などのプレート境界では、これまでにも巨大地震が繰り返し起きており、これら震源域の海底には、海底断層等によって形成される特徴的な地形が見られます。
このような地形や表層構造を詳細に明らかにすることにより、巨大地震の発生予測に関する重要な基礎資料を得ることができます。海上保安庁では、これら基礎資料を津波シミュレーションに活用するほか、気象庁など関係機関にも提供しています。
▲マルチビーム音響測深機画面
我が国唯一の総合的海洋データバンク
1.日本海洋データセンター(JODC*1)
日本海洋データセンターは、国内の海洋調査機関によって得られた重要かつ有用な海洋データを一元的に収集・管理し、国内外へ提供する我が国の総合的海洋データバンクとして、海上保安庁で運営されています。
国際的にはユネスコ政府間海洋学委員会(IOC*2)の推進する「国際海洋データ・情報交換システム(IODE*3)における日本の代表機関」及びIOCの国際的なプロジェクトである西太平洋海域共同調査(WESTPAC*4)等で収集された海洋データの管理に責任を持つ「責任国立海洋データセンター(RNODC*5)」等の業務を担当しています。
また、国内はもとより、西太平洋海域の海洋データの発掘に努めるとともに、地球環境問題の解明及び海洋環境に配慮した沿岸域の開発等にも貢献しています。
▼海洋データ・情報交換の流れ
2.海の相談室
海の相談室は、海上保安庁に常設されている海洋情報提供の窓口で、海に関する相談であれば、だれでも利用が可能です。
日本海洋データセンターが保有する水温や海・潮流、潮汐、水深などの海洋の基礎的データ、海図や水路書誌等の海洋情報部刊行物、国内外海洋関係機関の各種の文献・図面等についての閲覧、情報源の紹介のほか、潮干狩り、ヨット・モーターボート等のマリンレジャーに必要な情報の提供や海に関する様々な質問についても応えるなど各種サービスを行っており、電話、メール等による利用も受け付けています。
また、海上保安庁では、インターネット「海上保安庁海洋情報部ホームページ(http://www1.kaiho.mlit.go.jp/)」を通じても、「海洋速報」、「潮汐情報(潮干狩り情報)」、「日出没・月出没」といったマリンレジャーを安全に楽しむために役立つ様々な情報を提供しています。
▲海の相談室の相談風景
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