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1 治安の確保
CHAPTER IV. 密輸・密航対策
海上からの密輸については、一度に大量の薬物を密輸する事犯が相次いで発生しており、その手口は、小型船舶を利用した瀬取り(洋上における積荷の受渡し)、海上コンテナ貨物への隠匿等によるもので、大口化・巧妙化の傾向が続いています。また、船舶利用による密航については、かつて多発した密航船による集団密航ではなく、貨物船等からの不法上陸という態様であり、その手口は小口化の傾向が続いています。特に密輸事犯は、暴力団等や外国人の組織的な関与が見受けられることから、国際的な組織犯罪が行われているものと考えられます。
海上保安庁では、関係機関と連携し、我が国の治安及び法秩序を乱す密輸・密航事犯を厳格に取り締まり、密輸・密航の水際阻止を図っています。
令和4年の現況
1 密輸事犯について
令和4年の薬物事犯の摘発件数は6件でした。押収量は覚醒剤約12kg(末端密売価格約7億円相当)、大麻約300kg(末端密売価格約18億円相当)であり、当庁として過去最大量の大麻の密輸入を水際で阻止しました。
近年、海上からの密輸事犯は、小型船舶を利用した瀬取りや海上コンテナ貨物への隠匿といった手法により、一度に大量の薬物等を密輸する事犯が発生しており、密輸手口は大口化・巧妙化の傾向が続いています。
また、大麻乱用の拡大が顕著である昨今の情勢において、海外からの大麻供給を遮断する観点からも、水際で阻止することは非常に重要です。
引き続き、監視体制の強化や国内外の関係機関と連携し、不正薬物の水際阻止を強力に推進します。
2 密航事犯について
令和4年における密航事犯の摘発件数は1件であり、不法上陸者1名を摘発しました。また、犯罪インフラ*事犯の摘発件数は1件であり、入管法違反者(不法就労助長)、労働者派遣法違反者の計2名を摘発しました。
近年の船舶利用による密航は、貨物船等からの不法上陸といった小口化の傾向が続いているほか、新型コロナウイルス感染症の水際対策により上陸許可を受けていない乗組員が短時間上陸する等、摘発には至らない軽微な違反が多数発生しています。
令和4年10月から水際措置が緩和され、従来の国際的な人流が戻りつつあるほか、国際クルーズの受入も再開されています。
海上保安庁では、外国から入港する船舶に対する立入検査のみならず、港湾の監視・警戒、国内外関係機関との連携及び情報収集活動を行うことにより、不法上陸の防止を図るとともに、犯罪インフラ事犯の取締りに重点を置いています。
*犯罪インフラとは、犯罪を助長し、又は容易にする基盤のこと。外国人に係る犯罪インフラ事犯には、不法就労助長、旅券・在留カード等偽造、偽造在留カード所持等が挙げられる。
今後の取組
海上保安庁では、引き続き、国際組織犯罪対策基地を中心に国内外の関係機関との連携を強化しつつ、海事・漁業関係者や地元住民からの情報収集を行うとともに、その分析活動に努め、密輸・密航が行われる可能性が高い海域において、巡視船艇・航空機による重点的な監視・警戒を実施し、密輸・密航の蓋然性が高い地域から来航する船舶に対しても、重点的な立入検査や密輸・密航防止に係る啓発活動を実施し、密輸・密航事犯の水際阻止に努めていきます。
カナダ来大麻密輸入事件〜過去最大量の大麻約300kgを押収〜
令和4年1月、第三管区海上保安本部及び国際組織犯罪対策基地は、関係機関と合同で、カナダから来た海上貨物の燃料用木質ペレットに隠匿された大麻約300kg(末端密売価格約18億円相当)の密輸入事件を摘発し、令和5年1月、日本人2名を国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律違反(規制薬物としての所持)で逮捕しました。その後、大麻取締法違反(営利目的輸入)で再逮捕しました。当庁が摘発した大麻密輸入事件では、過去最大の押収量となります。
押収した大麻
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