海上保安レポート 2020

はじめに


TOPICS 海上保安庁、この1年


特集 海上保安庁新時代


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 海上交通の安全を守る

7 海をつなぐ


語句説明・索引


図表索引


資料編

1 治安の確保 > CHAPTER III. 国内密漁対策
1 治安の確保
CHAPTER III. 国内密漁対策

我が国周辺海域の豊かな水産資源は決して無尽蔵ではなく、生態系のバランスを保ち水産資源を枯渇させないために漁獲量や操業方法・区域・期間に制限をかけるなどのルールが設定されています。しかしながら、ルールに従わない一部の漁業者による違法な操業や、資金確保を目論む暴力団等による水産資源の乱獲が後を絶ちません。

海上保安庁では、密漁被害を受ける地元漁業者等からの取締り要請にも適切に対応するため、関係機関や地元自治体と連携・協力し、それぞれの地域の特性に応じた取締りを行い、漁業秩序の維持を図っています。

令和元年の現況

平成31年/令和元年の国内密漁事犯の送致件数は2,364件で、前年に比べ57件増加しており、依然として件数が多い状態が続いています。

密漁は、実行部隊と買受業者が手を組んだ組織的な形態で行われるもののほか、暴力団が取引価格の高い漁獲物を資金源とするために関与する事例も見受けられ、その手口は悪質かつ巧妙です。

また、近年、放流等により漁業者が育成・管理する水産資源を個人消費の目的で密漁するものも多く見受けられます。

しらす密漁で4人逮捕

気仙沼海上保安署は平成31年4月、宮城県気仙沼市宿舞根漁港内の火光利用敷網漁業の操業禁止区域内において、同漁業を操業中の漁船5隻を発見、そのうち現場から逃走するなどした漁船4隻の漁労長4名を後日逮捕しました。

捜査の結果、被疑者5名が、約770キログラム、金額にして100万円相当のしらすを不法に採捕していたことを明らかにしました。

違法操業の状況

違法操業の状況

今後の取組

海上保安庁では、監視能力の更なる向上や採証資機材等の充実を図り、悪質・巧妙化する密漁事犯の厳格な監視・取締りに努めます。罰則が強化された改正漁業法が令和2年中に施行されることも踏まえ、引き続き、関係機関や漁業関係団体等との緊密な連携を図ることで、地域の特性に応じた未然防止対策等の総合的な密漁対策を推進し、漁業秩序の維持に努めていきます。