海上保安レポート 2019

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 増大する危機に立ち向かう


目指せ! 海上保安官


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 交通の安全を守る

7 海をつなぐ


語句説明・索引


図表索引


資料編

1 治安の確保 > CHAPTER III. 国内密漁対策
1 治安の確保
CHAPTER III. 国内密漁対策

我が国周辺海域の豊かな水産資源は決して無尽蔵ではなく、生態系のバランスを保ち水産資源を枯渇させないために漁獲量や操業方法・区域・期間に制限をかけるなどのルールが設定されています。しかしながら、ルールに従わない漁業者による違法な操業や、資金確保を目論む暴力団等による水産資源の乱獲が後を絶ちません。

海上保安庁では、密漁被害を受ける地元漁業者等からの取締り要請にも適切に対応するため、関係機関や地元自治体と連携・協力し、それぞれの地域の特性に応じた取締りを行い、漁業秩序の維持を図っています。

平成30年の現況

平成30年の密漁事犯の送致件数は2,307件で、前年に比べ322件減少しましたが、依然として件数が多い状態が続いています。

密漁は、実行部隊と買受業者が手を組んだ組織的な形態で行われるもののほか、暴力団が取引価格の高い漁獲物を資金源とするために関与する事例も見受けられ、その手口は悪質かつ巧妙です。

また、近年、放流等により漁業者が育成・管理する水産資源を個人消費の目的で密漁するものも多く見受けられます。

悪質密漁者を相次いで逮捕!

松山海上保安部は、平成30年2月23日夜間、密漁者が山口県下松市海域で潜水器密漁を行い、漁獲物をトラックに積み込む一連の状況を確認したため、関係先の捜索差押を行い、多数の証拠品を押収し、密漁者4名を逮捕しました。捜査の結果、被疑者らが、過去5年間にわたり、約7,300万円の不法収益を得ていたことが明らかになり、漁業法違反等により送致しました。

また、佐世保海上保安部では、平成30年4月18日夜間、密漁者が管内の漁港で小型船舶に空気ボンベを積み込み出港したことを確認したため、同船の入港時に急襲し、密漁されたなまこや潜水資機材等を押収し、密漁者3名を逮捕しました。捜査の結果、被疑者らが、過去5年間にわたり、約3,500万円の不法収益を得ていたことが明らかになり、漁業法違反等により送致しました。

密漁されたなまこの状況

密漁されたなまこの状況

密漁された漁獲物を水揚げしている状況

密漁された漁獲物を水揚げしている状況

今後の取組み

海上保安庁では、監視能力の更なる向上や採証資機材等の充実を図り、悪質・巧妙化する密漁事犯の厳格な監視・取締りに努めます。また、引き続き、関係機関や漁業関係団体等との緊密な連携を図ることで、地域の特性に応じた未然防止対策等の総合的な密漁対策を推進し、漁業秩序の維持に努めていきます。