我が国の領海やEEZでは、将来にわたる水産資源の安定的な供給を維持するため、外国漁船による操業が規制されているほか、EEZでは周辺諸国等との間に各種漁業協定が結ばれ、これに基づくルールが定められています。しかし、ルールに従わない悪質な外国漁船による違法操業により、我が国の貴重な水産資源が乱獲される事案が後を絶ちません。
海上保安庁では、我が国の領海やEEZの漁業秩序を維持すべく、厳格な監視・取締りを行うとともに、関係省庁とも連携し、外国漁船による違法操業の根絶に努めています。
1. 平成28年の現況
平成28年の外国漁船検挙隻数は7隻で、前年より4隻増加しました。領海内での違法操業が1隻、無許可寄港が1隻、EEZでの違法操業が4隻、立入検査忌避が1隻でした。
外国漁船による漁業関係法令違反検挙状況(平成28年) |
外国漁船への適用法令 |
外国漁船の国・地域別検挙隻数の推移 (単位:隻) |
我が国周辺海域の豊富な水産資源を狙い、違法操業を行う漁船は後を絶ちません。これら外国漁船は、取締りを逃れるため夜陰に乗じて違法操業を行うだけでなく、ときには巡視船艇・航空機からの停船命令に従わず逃走を図り、あるいは、停船命令に従ったと見せかけて一旦停船するも、海上保安官が移乗しようとすると再度逃走を図るなど、その態様は悪質です。また、外国漁船が本邦に入港する場合には、我が国漁業者の保護等を目的として入港前に農林水産大臣の許可を受けなければならないとされているにも関わらず、中国漁船が海上で他の漁船から漁獲物を転載し、無許可で本邦港に寄港する事案も発生しています。
2.今後の取組み
海上保安庁では、引き続き、関係機関のほか地元漁業者等の地域住民との連携・協力を図るとともに、外国漁船の違法操業に的確に対応するために必要な要員や巡視船艇・航空機の増強、資機材の整備を進め、情報収集・分析活動に基づく違法操業を行う外国漁船の集中取締り、的確な監視・取締りを実施していきます。