近年、我が国周辺海域では、外国海洋調査船による我が国の事前の同意を得ない調査活動や同意内容と異なる調査活動が多数確認されています。海上保安庁では、こうした活動を早期に発見し、対応できるよう、巡視船艇・航空機による警戒監視等を行い、我が国の海洋権益の保全に努めています。
我が国のEEZ等において、外国船舶が調査活動を行う場合は、国連海洋法条約に基づき、我が国の事前の同意を得る手続き等をとる必要がありますが、平成28年は、我が国のEEZにおける外国海洋調査船による特異行動が21件確認されています。
*特異行動:事前の同意を得ない調査活動または同意内容と異なる調査活動
海上保安庁が確認した外国海洋調査船による我が国の事前の同意を得ない海洋調査活動等の状況 (平成25年〜平成29年3月) |
台湾海洋調査船「海研一號」 | 中国海洋調査船「勘407」 |
海上保安庁では、外国海洋調査船の特異行動に関する情報を入手した場合には、巡視船・航空機を現場海域に派遣し、当該調査船の活動状況や行動目的の確認を行い、得られた情報を関係省庁に提供するとともに、巡視船・航空機により中止要求を実施するなど、関係省庁と連携しつつ、その時々の状況に応じた適切な対応を行っています。
調査活動の確認
平成28年7月22日午前9時頃、しょう戒中の海上保安庁航空機が沖縄県久米島の西北西約60海里(約111km)の我が国のEEZにおいて、観測機器のようなものを海中へ投入している中国海洋調査船「向陽紅20」を確認しました。
中止要求等の実施
同調査船は、我が国のEEZにおいて、海洋の科学的調査を実施するとの事前通報があったものですが、事前通報の海域とは異なる海域で観測機器のようなものを海中に投入していたことから、巡視船から無線により行動の内容を確認したところ、「海洋調査を行っている」旨の応答がありました。このため、同調査船に対して巡視船から調査を中止するよう要求するとともに、外交ルートで事前通報海域外における調査の中止を申し入れたところ、同調査船は、事前通報海域に入域しました。 |