海上保安レポート 2014

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 海上保安庁の精神 正義仁愛


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 交通の安全を守る

7 海をつなぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編

特集 海上保安庁の精神 正義仁愛 > I 尖閣諸島周辺海域における領海警備 海を護る > 2 中国公船等の動向と海上保安庁の対応
特集 海上保安庁の精神 正義仁愛
I 尖閣諸島周辺海域における領海警備 海を護る
2 中国公船等の動向と海上保安庁の対応
1.中国公船等の動向
― 尖閣諸島周辺海域における主な情勢 ―

表(時系列)
2.中国公船による接続水域入域・領海侵入

尖閣諸島周辺海域では、平成24年9月の海上保安庁による尖閣三島(魚釣島、北小島、南小島)の取得・保有以降は、中国公船による領海侵入が繰り返されており、また、平成25年7月には中国側が海洋管理にあたる「海警」、「海監」、「漁政」、「海関」の4部門を再編統合して、一つの組織にするなど、緊迫した情勢が続いています。


◇中国公船による接続水域・領海侵入隻数
◇中国公船による接続水域・領海侵入隻数

― 尖閣三島の取得・保有以降の中国公船による領海侵入の実態(平成26年3月末現在) ―
  • 領海侵入件数:79件(81日)

  • 領海侵入隻数:延べ269隻(海監158隻、漁政10隻、海警101隻)

  • 最大領海侵入隻数:8隻(平成25年4月23日、9月10日)

  • 最長領海侵入時間:28時間15分(平成25年8月8日)

海上保安庁HPから、中国公船等による尖閣諸島周辺の接続水域入域・領海侵入件数(月別・日毎)がご覧になれます。

3.海上保安庁の領海警備
1 中国公船等への対応
荒天の中、魚釣島周辺海域で監視警戒に従事する巡視船
荒天の中、魚釣島周辺海域で監視警戒に従事する巡視船

海上保安庁では、現下の情勢を踏まえ、第十一管区海上保安本部に所属している巡視船や全国からの応援派遣勢力により、必要な勢力を確保し、中国公船に対して、領海に侵入しないよう警告するとともに、警告にもかかわらず領海に侵入した場合には、直ちに領海から退去するよう要求するなどし、領海外へに退去させています。

また、中国公船のみならず、領有権に関する独自の主張を行う活動家船舶等に対しても、我が国の主権と領土・領海を断固として守りぬくとの決意の下、法執行機関として、国際法や国内法に基づき、冷静に、かつ、毅然として対応しています。

尖閣諸島周辺海域に配備する巡視船に安らぐ時はない。

「中国海警船隊、こちらは日本国海上保安庁巡視船である。尖閣諸島は日本の領土であり、領海内における無害でない通航は認められない。」

という我々の無線警告に対して中国海警からは、独自の主張に基づく返答がなされる。

尖閣諸島周辺に接近する中国海警船隊と、これの対応にあたる当庁巡視船との間で、昼夜を問わずこれらのやり取りが繰り広げられている。

中国海警船隊が領海侵入した場合には、我々海上保安官は法執行機関として毅然とした態度で無線、汽笛や電光掲示板等を用いて、領海外へ退去するよう要求する。また、刻一刻と変化する状況を、現場に配備された他の巡視船や第十一管区海上保安本部等に連絡する。巡視船乗組員は、各人の担当配置において慌ただしく任務を遂行し、緊張を強いられるが、一人一人の高い士気と、チームワークで確実にこれに対応している。

我々の要求に従い中国海警が尖閣諸島周辺から離れても、当庁巡視船が尖閣諸島周辺の警備を緩めることはない。この原稿を執筆している今、周辺海域は荒れ模様で、船体が左右に30度近く傾くような天候であるが、巡視船は日本の領域と主権を守るべく冷静かつ毅然に警備にあたっている。

尖閣諸島周辺の領海を警備する巡視船に安らぐ時はない。


領海警備(1) 領海警備(2)
日本漁船の安全確保
日本漁船(左端)と中国公船(右端)との間に割り込む巡視船と搭載艇
日本漁船(左端)と中国公船(右端)との間に割り込む巡視船と搭載艇

尖閣諸島周辺海域では、領海に侵入した中国公船が、日本漁船に接近する状況も発生しています。

海上保安庁では、領海に侵入した中国公船に対し、直ちに領海から退去するよう要求するとともに、巡視船等が日本漁船と中国公船との間に位置するなど、日本漁船の安全確保に努めています。