海上保安庁では、地震、台風、豪雨等、自然災害が発生した際には、人命・財産を災害から保護するために災害応急活動を実施するほか、被災地の復旧・復興のため、航路標識の復旧や海図の改訂、海上交通路の速やかな啓開等に努めています。
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4 災害に備える
CHAPTER2 自然災害対策
海上保安庁では、地震、台風、豪雨等、自然災害が発生した際には、人命・財産を災害から保護するために災害応急活動を実施するほか、被災地の復旧・復興のため、航路標識の復旧や海図の改訂、海上交通路の速やかな啓開等に努めています。 1 東日本大震災からの復旧・復興と自然災害への対応
平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、我が国に未曾有の被害をもたらしました。海上保安庁では、地元である第二管区海上保安本部の巡視船及び航空機を中心に行方不明者等の捜索を行うとともに、潜水士による潜水捜索を実施し、平成24年は8体のご遺体を発見しました。 また、被災地における海上交通の安全を確保するため、被災した灯台等の航路標識を復旧させるとともに、被災港湾の水路測量、海図の改訂を実施しました。この結果、平成24年までに、これまでに被災した航路標識158基のうち154基を復旧させるとともに、気仙沼港ほか21図の海図を改版しました(平成25年3月31日現在)。 このほか、平成24年に発生した台風の接近時には、巡視船艇・航空機等により警戒に当たったほか、台風により被害を受けた航路標識を速やかに復旧しました。
2 今後起こりうる自然災害を見据えた対策
海上保安庁では、今後起こりうる災害、特に南海トラフの巨大地震等に迅速かつ的確に対応し、被害を局限化するための体制強化として以下の整備を実施しました。
また、災害応急対応に当たっては、関係機関との連携が重要であることから、平成24年は自然災害に備えた合同訓練を231回実施しました。また、東日本大震災の教訓を踏まえ、迅速な対応勢力の投入や非常時における円滑な通信体制の確保等を念頭に置いた防災訓練を関係機関と連携して実施しているほか、主要な港において、関係機関による「船舶津波対策協議会」を設立し、海上保安庁が収集・整理した津波防災に関するデータを活用しながら、必要な対策を検討しています。
海上保安庁では、防災に関する情報の整備・提供も実施しています。船舶の津波避難対策に資するため、大規模地震による津波被害が想定される沿岸海域を対象に、予測される津波の到達時間や波高、流向・流速等を記載した「津波防災情報図」を整備、提供しています。このほか、自治体における津波ハザードマップの作成に必要となる海底地形データを提供しています。 また、海上保安庁では、今後の災害予測に資するデータの収集も行っています。将来の海溝型地震の発生が予想される日本海溝や南海トラフ等の太平洋側海域において、海底に設置した基準局の移動を測量船によって計測する海底地殻変動観測を実施しています。これによって、想定震源域直上の海底の詳細な地殻変動データを整備し、今後の大地震の予測に役立てています。加えて、南方諸島や南西諸島の海域にある火山島や海底火山の構造等の調査、火山の活動状況の監視を実施し、航行船舶等に注意喚起等を行っています。 さらに、地震や台風といった自然災害に伴う航路標識の倒壊や消灯等を未然に防止し、災害時においても、被災地の海上交通安全を確保するために、航路標識の耐震・耐波浪補強や自立型電源化(太陽電池化)による防災対策を推進しています。
海上保安庁では、今後も東日本大震災被災地の復旧・復興を継続するとともに、今後起こりうる自然災害に備え、巡視船艇・航空機等の必要な体制の整備や、関係機関との連携強化、航路標識の防災対策等を引き続き推進していきます。また、災害発生時における円滑な救助・避難活動等に資するデータを整備していきます。 大規模地震・津波を想定した連携机上訓練を実施
平成24年9月10日、第四管区海上保安本部は、国土交通省中部地方整備局との間で、大規模地震・津波の発生を想定した連携机上訓練を実施しました。この訓練は、今後発生が予想される南海トラフの巨大地震とそれに伴う津波による被害を想定したもので、震度7の大規模地震が発生した後、大津波が沿岸を襲い、大量のガレキやコンテナが流出した中での緊急輸送路の確保に重点を置いて実施されました。 訓練では、伊勢湾の主要航路において、航路障害になりうる多数のコンテナやガレキの流入があるとの厳しい状況を想定し、TV会議システムや衛星電話を用いて被災情報を共有するとともに対応状況を緊密に報告し合うなど、相互の連携が確認でき、今後起こりうる災害に備え有意義な成果が得られました。 |