COLUMN Vol.06
人工衛星にラストメッセージ 第一管区海上保安本部
人工衛星にラストメッセージ 第一管区海上保安本部
▲JAXA提供 |
第一管区海上保安本部では、平成23年9月12日の水路記念日に、人工衛星『だいち』に対し、多年にわたる海洋情報業務への貢献を称え、第一管区海上保安本部長から感謝状を贈呈しました。
『だいち』は宇宙航空研究開発機構(JAXA)により平成18年1月に打ち上げられ、平成23年5月に運用が停止するまでの間、オホーツク海における海氷に関する様々なデータを提供してくれました。このため、感謝状の贈呈だけではなく、地上から『だいち』に向けレーザー光線を発射して、感謝の気持ちを直接『だいち』に伝えようという計画が企画されました。
レーザー光線は、海図作成の基準点の決定のためにレーザー測距観測を実施している第五管区海上保安本部下里水路観測所(和歌山県那智勝浦町)から発射されることとなり、JAXAの協力を得て『だいち』の軌道計算などの準備作業が始まりましたが、既に運用を停止している『だいち』の正確な軌道予測は難しく、成功確率1%以下と、とても成功はおぼつかないと思われました。
しかし、下里水路観測所は『だいち』が打ち上げられた平成18年にも軌道確定観測のために『だいち』にレーザー光線を発射して成功させた実績もあることから、「『だいち』にラストメッセージを届けるのは我々の他にいない!」との意気込みで関係者が一丸となり計画を続行しました。
その結果、平成23年10月18日、下里観測所からレーザー光線を発射し、その反射信号を受信することに成功、『だいち』は『彼』に関わる全ての人々の感謝の気持ちに応えてくれました。
『だいち』が最後に届けてくれたのは、「わずか1%の可能性でも挑戦し続ける大切さ」というメッセージだったのかもしれません。