海上保安レポート 2012

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 東日本大震災


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 領海等を守る

3 生命を救う

4 青い海を守る

5 災害に備える

6 海を知る

7 交通の安全を守る

8 海をつなぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編

6 海を知る > COLUMN Vol.06 人工衛星にラストメッセージ
6 海を知る
COLUMN Vol.06
人工衛星にラストメッセージ 第一管区海上保安本部
JAXA提供
▲JAXA提供

第一管区海上保安本部では、平成23年9月12日の水路記念日に、人工衛星『だいち』に対し、多年にわたる海洋情報業務への貢献を称え、第一管区海上保安本部長から感謝状を贈呈しました。

『だいち』は宇宙航空研究開発機構(JAXA)により平成18年1月に打ち上げられ、平成23年5月に運用が停止するまでの間、オホーツク海における海氷に関する様々なデータを提供してくれました。このため、感謝状の贈呈だけではなく、地上から『だいち』に向けレーザー光線を発射して、感謝の気持ちを直接『だいち』に伝えようという計画が企画されました。

レーザー光線は、海図作成の基準点の決定のためにレーザー測距観測を実施している第五管区海上保安本部下里水路観測所(和歌山県那智勝浦町)から発射されることとなり、JAXAの協力を得て『だいち』の軌道計算などの準備作業が始まりましたが、既に運用を停止している『だいち』の正確な軌道予測は難しく、成功確率1%以下と、とても成功はおぼつかないと思われました。

しかし、下里水路観測所は『だいち』が打ち上げられた平成18年にも軌道確定観測のために『だいち』にレーザー光線を発射して成功させた実績もあることから、「『だいち』にラストメッセージを届けるのは我々の他にいない!」との意気込みで関係者が一丸となり計画を続行しました。

その結果、平成23年10月18日、下里観測所からレーザー光線を発射し、その反射信号を受信することに成功、『だいち』は『彼』に関わる全ての人々の感謝の気持ちに応えてくれました。

『だいち』が最後に届けてくれたのは、「わずか1%の可能性でも挑戦し続ける大切さ」というメッセージだったのかもしれません。