海上保安レポート 2012

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 東日本大震災


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 領海等を守る

3 生命を救う

4 青い海を守る

5 災害に備える

6 海を知る

7 交通の安全を守る

8 海をつなぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編

6 海を知る > CHAPTER 1 海洋調査
6 海を知る
CHAPTER 1 海洋調査

海上保安庁では、海洋権益の保全や海上交通の安全確保、海洋環境の保全、防災等といった多様な目的のために、水路測量や海象観測等の海洋調査を実施し、海洋データを収集しています。近年は、我が国のEEZ等の管轄海域への関心や、メタンハイドレート、レアメタル等の新たなエネルギー、鉱物資源への関心が高まっている中、海洋権益の保全が重要課題となっています。

この章では、主に海洋権益の保全と海上交通の安全確保に関する海洋調査を紹介します。

平成23年の現況
1 海洋権益の保全のために
海上交通の安全確保のために

我が国の領海及びEEZのうち、東シナ海や日本海といった調査データの不足している海域における、海底地形や地殻構造、領海基線の調査のほか、沖ノ鳥島周辺の海潮流観測を実施しました。

また、「排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する基本計画」に基づき、EEZ等の幅を測定する根拠となる低潮線の保全を確実かつ効率的に実施するために、低潮線の位置、周辺の海底地形や写真等の情報を「低潮線データベース」に登録し、関係行政機関で共有しました。

2 海上交通の安全確保のために

測量船に搭載したマルチビーム音響測深機や航空機に搭載した航空レーザー測深機により、伊勢湾、仙台湾等で測量を行い、海図の最新維持を実施し、海上交通の安全確保に努めました。

また、日本周辺海域の海潮流や水温等の海象観測、験潮所での潮汐観測を実施するなど、海上交通の安全確保等に必要な情報の収集に努めました。

さらに、火山噴火等の自然災害から航海の安全を守るために、南方諸島や南西諸島における海域の火山の監視観測を実施しました。


3 様々な目的のために

地震や津波に対する防災のために、日本海溝や南海トラフ等の太平洋側海域において、海底地殻変動観測を実施しました。


■海洋調査のイメージ
海洋調査のイメージ
今後の取組み
1 海洋権益の保全のために
■AUVの運用イメージ
AUVの運用イメージ

引き続き、我が国の領海及びEEZのうち調査データの不足している海域の調査を推進していくとともに、平成25年度からは、海底近傍まで潜航することにより、精密なデータを取得できる自律型潜水調査機器AUV:Autonomous Underwater Vehicle)の運用を開始し、海洋権益を保全するための海洋調査の能力の向上を図っていきます。また、大型測量船の大規模改修等を行い、海洋調査を効率的に進めていきます。

我が国は海底資源の開発等に管轄権を有する大陸棚について、200海里を越えて大陸棚の限界を延長するため、平成20年11月、国連に申請を行いました。現在は、国連の大陸棚限界委員会の審査中であり、関係省庁と連携して適切に対応していきます。

■AUVによる調査
AUVによる調査

2 海上交通の安全確保のために

引き続き、海上交通の安全確保に貢献するべく、測量船による水路測量、航空機による航空レーザー測量を実施していきます。

また、海流や潮汐、潮流の観測、火山の監視観測も継続的に実施していきます。


3 様々な目的のために

引き続き、防災のために海底地殻変動観測を実施するとともに、海洋環境保全のために海洋汚染調査を実施していきます。

また、国際共同調査として、地球環境問題のメカニズム解明のために太平洋沿岸諸国が実施している西太平洋海域共同調査(WESTPAC)に引き続き参画し、地球環境の保全に貢献していきます。