有明海ならではの干潟レスキュー隊を結成 第七管区海上保安本部
▲潟スキーを駆使した救助訓練を行う干潟レスキュー隊 |
「潟(がた)スキー」ってご存知ですか? 有明海沿岸の干潟でムツゴロウ漁に使われているスノーボードのような板に片膝立ちで乗り、もう一方の足で潟を蹴りながら干潟の上を滑走します。
干満の差が大きい有明海では、干潮近くになると沿岸部一帯に干潟が出現し、海岸から数キロメートル先まで“潟の海”となることがあります。この“潟の海”は、当然ながら船での航行は出来ません。このような”潟の海“をスムーズに移動するために漁業者の知恵で考案されたのがこの潟スキーで、今でも一部の漁業者から重宝されています。
こうした特殊な有明海にあって、平成22年に、行方不明の漁船が干潟の中で発見されたものの潮が満ちるまで救助に向かえなかった事案や、干潟で孤立した男性を救助するまでに長時間を要した事案が相次いで発生したことから、有明海を担任水域に持つ三池海上保安部では、“潟の海”攻略のための検討を始めました。三池海上保安部では、これまでの苦い経験を踏まえ、色々な手法を模索する中で、干潟の上でもスムーズに滑走できる潟スキーに着目。先ずは巡視艇「いけかぜ」の若手乗組員からチャレンジチームを募り、地元漁業者のお古の潟スキーを借用して、泥まみれになりながら猛特訓を行いました。また、地元のムツ掛け(ムツゴロウ漁)名人にも教えを請いながら、ついに、平成23年4月、「いけかぜ」乗組員5人で編成する「有明機動沿岸救助隊(通称:干潟レスキュー隊)」を結成しました。結成後も更なる訓練を積み、今では、隊員2人が救助者搬送用のスキーを引っ張りながら、潟スキーをすいすいと滑らせて現場に急行し、搬送用スキーに要救助者を乗せて陸岸から別の隊員がロープで引っ張り救助する、といった救助手法も確立しました。ムツゴロウが見守る中、懸命に訓練する模様が地元メディアに取り上げられ注目を集めたことから、隊員は、期待を裏切れないと、日々、潟スキーの操作技術の向上に努めています。