海上保安レポート 2012

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 東日本大震災


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 領海等を守る

3 生命を救う

4 青い海を守る

5 災害に備える

6 海を知る

7 交通の安全を守る

8 海をつなぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編

3 生命を救う > COLUMN Vol.03 海上保安庁最年長潜水士!
3 生命を救う
COLUMN Vol.03
海上保安庁最年長潜水士! 第九管区海上保安本部

新潟海上保安部巡視船「やひこ」に、海上保安庁最年長の潜水士である佐々木清壽首席航海士(51歳)が乗船しています。

全国には、特殊救難隊機動救難士を含め、潜水士約200人が配置されていますが、荒れた海上での潜水作業やヘリコプターからの吊り上げ救助作業など、強靭な精神力と体力が求められるため、その大半が20代〜30代で構成されています。その中で唯一、50代で潜水士を続けている佐々木首席航海士は、海上保安庁最年長潜水士でありながら、気力・体力ともに他の若い潜水士に引けをとらず潜水士を続けています。

佐々木首席航海士は「やひこ」の潜水班長として、これまで様々な海難において遺憾なく能力を発揮してきました。日常の訓練では、自分の経験を踏まえながら、若手潜水士の育成にも熱心に取り組んでいます。経験の浅い若手潜水士にとって、佐々木首席航海士の言葉や動作の一つ一つが勉強になり、皆尊敬のまなざしを向けています。

そんな佐々木首席航海士は、昭和57年に潜水士になって以来、特殊救難隊や救難強化型巡視船などの現場最前線で勤務してきましたが、転勤により陸上勤務となったことを契機に平成17年度以降は潜水士から離れていました。しかし、平成21年に潜水士が乗船している「やひこ」へ転勤となり、潜水士の訓練等を目の当りにしているうちに、「俺、潜らなくていいのかな」との強い気持ちに駆られ、また、元潜水士の血が騒ぎ、5年振りに潜水士を志願しました。その際の体力テストでは、50歳とは思えないほどの好成績を残し、健康診断等においても特に問題がないことが確認され、見事に潜水士に復帰しました。潜水士経験14年。長年の豊富な経験の中には、目の前の命を救えなかったこともあったそうです。自分が潜水士であり続けることについて、「自分から『辞めます』と言ったらその人たちに申し訳ない。限界まで続けるつもり。」と語る海上保安庁最年長潜水士!! まだまだ記録の更新は続きそうです。