海上保安レポート 2010

はじめに


TOPICS 海上保安の一年

特集


海上保安庁の任務・体制


治安の確保

領海等を守る

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

交通の安全を守る

海を繋ぐ


目指せ!海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編


特集1 進化する海上保安庁〜新たな課題と装備の強化〜 > 2.巡視船艇・航空機の高性能化
特集1 進化する海上保安庁〜新たな課題と装備の強化〜
2.巡視船艇・航空機の高性能化

これまで見てきたように、海上保安庁は、海洋権益の保全、国内MOX燃料の輸送警備、管轄海域の拡大に伴う対応、遠方事案への対応といった新たな課題に直面しています。

また、沿岸水域の厳格な監視警戒や、密輸・密航、密漁等の犯罪取締り、海難の救助といった業務にも的確に対応していく必要があります。

しかしながら、遠方事案等に的確に対処するための体制は十分であるとはいえず、さらには、昭和50年代に整備された巡視船艇・航空機は、就役から30年前後が経過し、船体の腐食等による老朽化、速力不足等といった性能面の旧式化が進み、海難救助活動や犯罪の取締りといった業務の遂行にも支障が生じている状況にあります。

そこで、海上保安庁では、遠方事案等に対処できる巡視船の整備や、老朽・旧式化した巡視船艇・航空機の更新等を計画的に進め、海上保安体制を強化していくこととしています。

(1)「しきしま」級巡視船の整備

重大事案、遠方事案等の新たな業務課題に対応していくためには、被害制御・長期行動能力等を備えた大型のヘリコプター搭載型巡視船が必要となりますが、現在そのような大型巡視船は平成4年に建造された「しきしま」1隻しかありません。遠方事案に最低1隻を継続的に派遣でき、我が国周辺海域で重大事案が同時発生した場合にも対応できる体制とするためには、現在の「しきしま」を含めた複数隻体制とする必要があります。

(2)巡視船艇・航空機の緊急整備

海上保安庁では、最優先の課題として、平成18年から緊急整備に取り組んでおり、これまで、緊急整備対象の巡視船艇約120隻のうち91隻(約8割)、航空機約30機のうち23機(約7割)までが既に整備され、又は予算が認められています。

ただ、これらは中小型船が中心であり、全体に係る費用という観点からみた進捗状況は依然道半ばの状態にあり、今後とも代替整備を着実に進めていく必要があります。

◆高性能化した新型巡視船
PL型(1,000トン型)巡視船 「しきね」
PL型(1,000トン型)巡視船 「しきね」

◆高機能化した航空機
ボンバル300 「しまたか」
ボンバル300 「しまたか」