Column Vol.10
南極地域観測に貢献する海上保安官
本庁海洋情報部沿岸調査課
南極地域観測に貢献する海上保安官
本庁海洋情報部沿岸調査課
南極地域観測は、関係各省庁が連携して研究観測や輸送などを分担して進めている国家事業です。海上保安庁では、1956年の南極観測船「宗谷」による南極地域観測から参加しており、近年は、南極地域における船舶の航行安全の確保、地球科学の基盤情報の収集などを目的とした海底地形調査や潮汐観測を行っています。
国際水路機関の中の南極地域水路委員会の取組みとして、各加盟国は南極地域の海図を分担して刊行しており、日本(海上保安庁)は、南極観測船「しらせ」に装備されたマルチビーム音響測深機を使用して精密な海底地形データを取得し、昭和基地周辺の海図の整備を進めています。また、地球規模の海面水位長期変動の監視のために、潮汐観測を行っています。これらのデータは地球科学の基盤情報としても活用されています。
南極地域観測に従事する海上保安官は、南極地域観測隊の夏隊員として毎年11月に日本を発ち、南極観測船「しらせ」に乗船して他の隊員たちとともに南極地域の観測に従事して翌年春頃帰国します。令和2年度は女性海上保安官が参加、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、寄港せずに南極に直行する航路を取りました。海上保安庁では、これまで培った海洋調査のノウハウを生かし、南極地域観測に貢献しています。
海底地形調査
投下式塩分・水温・深度観測
当庁が刊行する南極周辺海域の海図(W3922「リュツォ・ホルム湾及び付近」)